【土の捨てかた】買うのは簡単でも捨てるのは厄介…

ガーデニングや家庭菜園の季節になると、ホームセンターなどで袋入りの土を買う機会も増えてきます。
でも、余った土や使い終わった古い土をいざ捨てようとすると意外と困りませんか?
- ゴミとして出していいの?
- 庭や道ばたに撒いてもいいの?
- マンションだとどうしたらいいの?
この記事では、そんな疑問にお答えしつつ、土の処分にまつわる注意点や選択肢について詳しくご紹介します。


土は何ゴミ?

まずは自治体ルールをチェック
結論から言うと、土は多くの自治体で「ゴミとして回収していない」扱いになっています。
その理由は、以下の表の通りです。
自治体名 | 土の扱い | 処分方法 | 備考 |
---|---|---|---|
東京都23区 | 回収不可 | 清掃工場等への自己搬入または専門業者 | 「可燃」「不燃」「粗大」いずれにも該当しない |
横浜市 | 回収不可 | 自己処理が必要 | 土砂類は収集不可物 |
大阪市 | 回収不可 | 持ち込み処分は応相談 | 家庭ごみには出せない |
名古屋市 | 回収不可 | 産廃として扱われるケースも | 基本的に一般廃棄物には該当せず |
なぜ土は普通のゴミとして捨てられないの?
見た目は自然素材でも、土はごみ収集の現場では特殊な扱いになります。
その理由は以下の通りです。
- 重量があり、収集車両や焼却炉の負担になる
- 雑草の種や病原菌、肥料などが混ざっている可能性がある
- 再利用や焼却処理が難しく、異物混入の原因にもなる
そのため「燃えるごみ」「粗大ごみ」などの分類ではなく、原則として回収対象外とされています。
庭に撒いてもいい?公園や空き地はNGです
「だったら自分の庭に撒けばいいのでは?」という声もありますが、土の状態や撒く場所によっては思わぬトラブルの原因になります。
自宅の庭ならOK…ただし状態に注意

自宅の敷地内であれば、基本的には自分の判断で撒くことが可能です。 ただし、以下のようなリスクには注意が必要です。
- 古い土には雑草の種・病害虫・カビの胞子などが含まれていることがあり、庭全体の土壌環境を悪化させる可能性があります。
- 化成肥料や堆肥を混ぜた培養土は栄養分が偏っていることもあり、再利用前にはふるいにかけて不純物を除去し、天日干しによる殺菌・乾燥処理を行うのが望ましいです。
- 雨水で流出した土が隣家や道路、排水溝に広がると近隣トラブルになる可能性も。
そのため、「撒いてもよい」のはあくまで状態をよく確認した上で、管理されたスペースに限定して慎重に行う必要があります。
公園や空き地に撒くのはNG

公園や空き地、川べりなど公共の場所に土を撒く行為は、たとえ善意であっても不法投棄に該当します。
【違法となる理由】
- 土も「廃棄物」と見なされる場合があり、無断で公共空間に放置・投棄する行為は廃棄物処理法第16条(投棄禁止)に違反します。
- 土地所有者の許可がないまま撒くと、民法上の不法行為にも該当し、損害賠償の対象となる可能性があります。
【罰則規定の一例】
- 廃棄物処理法 第25条 第1項 第14号:
廃棄物をみだりに捨てた者には、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります(法人の場合は3億円以下の罰金)
土を捨てる・手放すための選択肢

庭があればまだしも、マンションやアパート暮らしだと本当に困りますよね。
ベランダガーデニングや室内の観葉植物などで使った土をどこにも撒けないマンション住まいの方には、次のような選択肢があります。
土をベランダに置きっぱなしにもできず、ゴミにも出せない。
そんなときは以下のような方法を検討してみてください。
土を捨てる・手放すための選択肢
方法 | 概要 | メモ |
---|---|---|
少量なら燃えるゴミ? | 自治体によってはOKな場合も | 地域によって異なるので要確認 |
ホームセンターで回収 | 一部の店舗が対応 | 店舗により異なる |
清掃工場へ自己搬入 | 自治体で受け入れ可能な場合も | 予約・有料のケースあり |
園芸業者に依頼 | 剪定とあわせて処分可能なことも | 有料・地域で異なる |
再利用 | 乾燥・ふるい分けで再活用 | 肥料や病原菌に注意 |
地域別・土の処分に対応している施設・店舗例
- 【神奈川県】横浜市:少量ずつであれば「燃えないごみ」として収集可能(透明・半透明の袋に入れ、週2回の収集日に出す)[参考リンク]
- 【東京都】足立区:不要になった園芸用土は環境事業所などで受け入れ可(量・内容により要確認)[参考リンク]
- 【全国】カインズ一部店舗:「園芸用土リサイクル」コーナー設置店あり[参考ページ]
捨てる前に考えたい、土の処分がもたらす影響

土は自然由来のものですが、適切に処理しないと周囲の環境に悪影響を与えてしまうことがあります。
- 河川や排水に流れ出ると、水質汚濁や生態系への悪影響
- 焼却施設に混入すれば、設備トラブルや処理コスト増
- 不法投棄は景観や地域環境への悪影響に
「自然なものだからどこにでも捨てていい」ではなく、きちんと責任をもって手放すことが大切です。
まとめ
土は多くの自治体で回収対象外とされる「処理困難物」です。
庭がある場合は再利用も検討できますが、公園や空き地に撒くことは不法投棄にあたるため避けましょう。
少量であればゴミとして出せる場合もありますが、必ず自治体のルールを確認し、自己搬入や園芸業者、ホームセンターなどの選択肢も活用することが大切です。
「買って終わり」ではなく、きちんと手放すところまで考える。それが、ガーデニングを楽しむ上でのマナーです。