【カミソリの捨てかた】使い捨ても替刃式もこれで安心!正しい分別とサステナブルな選び方

毎日のように使う人もいれば、旅行や出張のときにだけ使い捨てのものを使うという人もいる「カミソリ」。
刃を交換した時や使い捨てカミソリが溜まってくると、「これ、どうやって捨てればいいんだろう?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
実はカミソリの素材や構造は分別にひと手間必要であり、地域によって扱いが異なることもあります。
この記事では、そんなカミソリの正しい捨てかたと、よりサステナブルな選択肢をご紹介します。


カミソリの基本情報:使い捨てor替刃式
使い捨てカミソリ

多くの「使い捨てカミソリ」は、刃の部分がステンレス製の金属で、持ち手部分はポリプロピレンやABSなどのプラスチックでできています。
ホテルのアメニティの髭剃りや、産毛剃り用のカミソリなどが使い捨てカミソリの代表例です。軽くて安価、使用後はそのまま廃棄できるため利便性が高い一方で、「刃が付いたまま燃えるゴミに出していいの?」「プラスチックの部分は資源ごみ?」など、捨て方に迷うことも多いアイテムです。
これらは異素材の組み合わせであるため、自治体によって分別区分や取り扱いが分かれるケースがあります。
替刃式カミソリ

シックやジレットなどに代表される髭剃りやムダ毛剃り用の替刃式カミソリ(システムカミソリ)は、刃が着脱式カートリッジに収められており、ハンドル(本体部分)は金属と樹脂を組み合わせた頑丈な構造になっています。
一部の製品ではハンドルが全金属製で高級感があり、長期間使用される前提で作られています。
そのため、処分時には「本体って燃えるゴミ?不燃ごみ?」「刃の部分だけ分けて捨てるの?」といった迷いが生まれがちです。
刃を交換した後にどこに捨てるか迷いながら、「とりあえず燃えるゴミのゴミ箱にポイ…」という経験に、心当たりがある方も多いのではないでしょうか?
カミソリの分別方法:主要自治体ではどうなっている?

各自治体によってカミソリの扱いは微妙に異なりますが、基本的には刃の部分を含むため「不燃ごみ」として扱われるケースが多く見られます。
刃とハンドルが一体型かどうか、素材が金属かプラスチックかにより、細かな扱いが異なる場合もあります。
代表的な自治体の分別ルール

東京都(23区)
- カミソリ全般:不燃ごみ
- 備考:刃先は新聞紙や厚紙で包むことが推奨されています
大阪市
- カミソリ全般:普通ごみ(燃えないごみ)
- 備考:刃を含むものは安全のため包んで出す
札幌市
- カミソリ全般:不燃ごみ
- 備考:ハンドルがプラスチック製で刃が外せる場合、分別して可燃ごみに出すことも可
自治体からの注意喚起

多くの自治体では、カミソリの刃がごみ袋の中でむき出しになっていることによる収集作業員の負傷事故を防ぐため、「刃物類は必ず紙や布で包んでから捨ててください」と明確に呼びかけています。
例:新宿区(東京都)
「はさみ・カッター・かみそりなどの刃物は、新聞紙などで包み、『キケン』と書いて出してください。」
出典:新宿区 (https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/seiso01_001030.html)
例:川崎市
「使い捨てカミソリの刃やカッターの刃は、紙などで包み、けがのないよう配慮してください。」
出典:川崎市(https://www.city.kawasaki.jp/300/page/0000064923.html)
例:松戸市(千葉県)
松戸市では、実際に使用済みカミソリによるごみ収集作業員のけがが発生しており、注意喚起の資料で「ごみの出し方次第で事故は防げる」と呼びかけています。
「使用済みのカミソリやカッターの刃は、厚紙や新聞紙でしっかり包んで、不燃ごみに出してください」
出典:松戸市(https://www.city.matsudo.chiba.jp/kurashi/gomi_shinyou/recycle/risaikuru.files/risaikuru13.pdf)
このように、刃先が見えた状態で袋に入れられると、手を切るなどの事故につながりかねません。
分別ルールに従うことに加え、作業員への安全配慮として包む処理はマナーでもあります。
安全な処理はただルールを守るというだけでなく、誰かのケガを防ぐことにもつながる大切な一歩です。
「プラごみじゃないの?」という疑問について

カミソリの持ち手部分がプラスチック製であることから、「プラごみに出していいのでは?」と考える人も多いかもしれません。
さらに、硬めのプラスチック=「硬質プラ」は、地域によっては燃えるゴミとして扱われることもあるため、迷いやすいポイントです。
なぜプラごみではないの?

「プラごみ(容器包装プラスチック)」とは、食品トレーやお菓子の袋、シャンプー容器など、製品の「包装」や「容器」用途で使われていたプラスチックのことを指します。
カミソリ本体はこれに該当せず、製品そのもの=製品プラスチックとして扱われるため、容リプラの回収対象にはなりません。
また、リサイクル施設ではカミソリのような小さくて硬い物は選別や処理が難しく、リサイクル効率が著しく下がるため、多くの自治体で不燃ごみまたは燃えるごみとして扱う方針を取っています。
硬質プラは燃えるゴミ?

たしかに一部の自治体では、ハンガーやバケツなどの硬質プラスチック製品を「燃えるごみ」として収集しています。
しかし、カミソリの場合は刃物としての危険性があることが最優先されるため、不燃ごみとして扱うのが一般的です。
素材だけで判断せず、「刃がついているか」「どのような形状か」「分別基準に合っているか」を確認した上で、正しく処分することが大切です。
回収プログラムはないの?

結論から言うと、現時点ではカミソリ専用の常設型回収プログラムは、日本国内にはほとんど存在していません。
一部のメーカーや理美容店が期間限定で回収キャンペーンを実施することはありますが、いつでも誰でも利用できる仕組みにはなっていないのが現状です。
現状の課題とこれから
カミソリは異素材の複合製品であり、刃が含まれるため選別や処理が困難です。
衛生面・安全面の問題もあり、回収体制の整備が難しいとされています。
このような背景から、「カミソリはリサイクルできないもの」として処分され続けてきました。
いま求められるのは、回収しやすい製品設計やメーカー主導のリサイクルインフラの整備、そして消費者側の選ぶ力なのではないでしょうか。
サステナブルなカミソリ選び

選ぶという行為には、「捨てる未来をデザインする」力があります。
リサイクルが難しいからこそ、そもそもゴミを出さない選択肢を選ぶことが、より良い循環の第一歩になるのではないでしょうか。
「使い捨て」から「繰り返し使える」へ
サステナブルな選択肢として、下記のような製品が注目されています。
替刃式カミソリ(ハンドルを長く使える)
たとえば「ジレット・フュージョン」や「シック・ハイドロ」は替刃式で、ハンドルを使い続けることができる構造です。

金属製の本格的なカミソリ

長く使えるサステナブルなカミソリといえば、家庭用の替刃式だけでなく、理容室などで使用されるプロ仕様の「ストレートレザー」や「本格的な刃物のカミソリ」もその代表例です。
これらは刃を研ぎながら繰り返し使用するもので、プラスチックごみを一切出さず、金属資源としての循環性も高い製品です。
使用には手間と技術が必要ですが、そのぶん廃棄物ゼロを実現できる、究極のサステナブル製品と言えるかもしれません。
こんな選択肢もあります:エコカミソリ
さらに最近では、脱プラスチックを意識したエコカミソリも登場しています。
リサイクルド素材で作られたカミソリ
「ジレット カスタムプレミアム リサイクルド」は、使用済み素材を再利用して作られた使い捨てカミソリです。
通常の使い捨てタイプと同じ感覚で使えるうえ、環境への配慮が込められています。

紙製の使い捨てカミソリ
「紙カミソリ(PAPER RAZOR)」は、柄の部分に紙素材を使用した軽量カミソリです。
燃えるごみとしてそのまま処理でき、プラスチック使用を極力抑えた構造が特徴です
旅行や災害用備蓄にも適しています。

竹素材のハンドルを採用したエコカミソリ
再生可能な竹をハンドルに使った「バンブーカミソリ」は、脱プラスチック志向の人に人気です。
自然素材ならではの風合いと、十分な耐久性を兼ね備えています。

まとめ
カミソリは身近なアイテムですが、見た目以上に分別が難しいアイテムです。
刃が付いているため危険性があり、多くの自治体では不燃ごみとして扱われます。
捨てる際には新聞紙などで包むといった安全対策も忘れてはいけません。
また、現在は常設の回収プログラムがほとんどないため、サステナビリティの観点からは長く使える替刃式や金属製、紙・竹素材の製品など、環境に配慮した製品を選ぶことが大切です。
日々の習慣の中で、捨てかたや選びかたを少し工夫することが、よりよい資源循環と未来の環境につながっていきます。