【タイヤの捨てかた】粗大ごみ?火災リスクやリサイクルも解説(車・バイク編)

車やバイクのタイヤ、交換したあとどうしていますか?
古くなったスタットレスタイヤが倉庫に眠っているという方もいるのではないでしょうか。
「粗大ごみでいいのかな?」「切って燃えるごみにできる?」と思いながら、つい放置してしまう気持ちもわかります。
実はタイヤは、自治体のごみ回収では基本的に受け付けてもらえない特殊な廃棄物。
そのままにしておくと、火災や環境汚染につながるリスクもあるのです。
この記事では、自動車・バイクのタイヤに限定して、正しい処分方法やリサイクルの現状、不法投棄の問題までを解説します。


タイヤは何でできてるの?
タイヤ本体の素材について
タイヤは単なる「ゴムのかたまり」ではありません。主に以下のような素材が使われています:
- 天然ゴム・合成ゴム:柔軟性・耐久性を担う
- カーボンブラック:紫外線対策・強度強化
- スチールワイヤー:構造を保持する補強材
- 繊維素材(ナイロン・ポリエステルなど):軽量化と補強
- オイル・化学添加剤:性能調整
このような複合素材で構成されているため、通常の可燃・不燃ごみには分類されません。
ホイール部分の扱いについて

ホイール(タイヤを支える金属製の輪部分)は、タイヤとは別パーツとして扱われることが多く、金属ごみや粗大ごみとして自治体が回収する場合もあります。
一方で、タイヤとホイールが接合されたままの状態では回収不可とされる自治体が多く、その場合はカー用品店や整備業者に依頼するのが確実です。
タイヤは粗大ごみ?切れば燃えるごみ?

粗大ごみに出せるの?
多くの自治体では、タイヤは粗大ごみとしても収集対象外です。
理由は以下の通り:
- サイズや重量の規定に適合しないことが多い
- 焼却施設や中間処理施設での処理が困難
- リサイクルや適正処理が求められる品目であるため
一部の自治体では例外的に粗大ごみとして受け入れている場合もありますが、その場合もホイールの有無や回収場所の指定など、条件が設けられていることが一般的です。
切って燃えるごみにすればいい?
これもNGです。
ノコギリなどで物理的に小さくして袋に入れたとしても、燃えるごみとして処理することはできません。
その理由は:
- 内部にスチールワイヤーが含まれ、切断が危険
- 燃焼時に有害物質が発生する可能性がある
- 焼却炉にダメージを与えるリスクがある
つまり、「サイズが小さければ大丈夫」という考えは通用しません。タイヤは家庭ごみの枠には収まらない、特殊な廃棄物なのです。
タイヤの正しい処分方法

タイヤは自治体で回収されないため、以下のような専門ルートを使って処分する必要があります。
カー用品店(例:オートバックス、イエローハットなど)
- タイヤ交換時に有料で引き取りしてくれるのが一般的です。
- 店舗により異なりますが、1本あたり500〜1,000円程度が目安です。
- 新品購入+取付け時に処分をセットにするのが一番確実で手間が少ない方法です。
- 店舗によってはホイール付きタイヤも回収可能。
自動車整備工場・ディーラー
- 車検・点検のタイミングであれば、ついでに処分を依頼できます。
- 整備費用に処分代が含まれる場合もあるため、事前に確認しましょう。
- メーカー系ディーラーでも対応しているケースが多いです。
バイクショップ(バイク用タイヤの場合)
- バイクのタイヤもカー用品店同様に交換時に回収してもらえます。
- 専門店であれば、安全に確実に処理してくれます。
不用品回収サービス・リサイクル業者
- タイヤだけの処分にも対応している業者があります。
- 「くらしのマーケット」「ジモティー」などで検索可能。
- 自宅まで引き取りに来てくれるので便利ですが、料金は割高(1本1,000〜2,000円のケースも)になる傾向。
- 業者選定の際は許可の有無や評判を必ず確認しましょう。
バイクのタイヤも同じ?

バイクのタイヤも、基本的には自動車用と同じ扱いです。
- 自治体では収集しない
- バイクショップ・整備店・販売店などで有料回収が一般的
- 相場は1本あたり500〜1,000円
大量に廃棄する場合は、産業廃棄物処理業者への相談も検討されますが、個人での利用は不可の場合もあります。
タイヤはリサイクルできる?
日本では、廃タイヤの約90%がリサイクルまたは熱回収に活用されています。(出典:日本自動車タイヤ協会(https://www.jatma.or.jp))
主なリサイクル用途

- セメント工場での燃料(RPF=固形燃料)
- 高温で安定して燃焼するため、化石燃料の代替として活用されています。
- ゴムチップ化し、再利用製品に加工
- ゴムマット(遊具下の安全マットなど)
- アスファルト舗装材
- 防音・防振材
- リトレッドタイヤ(再生タイヤ)として再利用
- トラック・バスなどの大型車両向けに、摩耗した部分のみを再加工して使用します。
- 海外輸出
- 使用可能な中古タイヤとして途上国で再利用されたり、現地でチップ化されたりします。
タイヤは資源
つまり、タイヤは捨てれば「ただのごみ」ですが、適切に処理すれば「社会インフラや製品の素材として活きる資源」となるのです。
廃棄せずにリサイクルへ回すことが、循環型社会をつくる第一歩です。な資源」になるのです。
タイヤを放置するとどうなる?火災・環境リスクまとめ
タイヤをそのまま放置しておくことには、大きなリスクが伴います。
タイヤ火災の危険性

タイヤは燃えにくい一方で、いったん火がつくと高温で長時間燃焼し続けるという特性があります。
内部に含まれる炭化水素・オイル・カーボンブラックなどが燃焼を助け、以下のような有害物質を発生させます:
- 黒煙(粒子状物質 PM)
- ダイオキシン類
- 揮発性有機化合物(VOC)
最近でも廃タイヤが燃える大規模な火災が発生する事例が見られています。
倉庫と大量の廃タイヤ焼く火事 一時、停電も 廃タイヤは業者が放置 地主「この後どうすれば」2023年9月30日(土) 11時50分
MBS長野放送
放置タイヤの環境リスク

火災の他にも廃タイヤには様々なリスクが付随します。
- 雨水が溜まり、蚊の発生源(ボウフラ)になる
- 景観や衛生状態の悪化につながる
- 不法投棄の温床となりやすい
- 火災の引き金になりうる
タイヤは自然分解されることがなく、長期間にわたり環境負荷を与え続ける存在です。
「そのうち捨てよう」と放置せず、早めに正しい処分を行うことが大切です。
タイヤの処分には許可が必要:業者選びで失敗しないために
産業廃棄物に該当する場合は「許可」が必須
廃タイヤは、法律上「産業廃棄物」として扱われます(廃棄物処理法)。
そのため、事業者が処分する場合は、「産業廃棄物収集運搬業」や「処分業」の許可を得た業者にしか依頼できません。
一方で、個人がカー用品店などを通じて処分する場合には、利用者自身が許可を確認する必要はありません。
店舗側が、法令に則って許可業者と提携しているのが一般的です。
悪質業者に注意!こんなケースは避けましょう
- 「無料回収」と謳いながら後から高額請求する
- 処分の証明書や領収書を出さない
- トラックで街中を巡回している(許可区域外で営業)
消費者が失敗しないためのポイント
- 店舗や業者に「処分先は許可業者ですか?」と聞いてOK
- 領収書や廃タイヤの処理証明書をもらえる業者を選ぶ
- 事前に料金を明示しているかを確認する
- 店舗名で検索し、評判や口コミをチェックする
安心して依頼するなら…
- 全国展開のカー用品店(オートバックス、イエローハットなど)
- 地元で長年営業している整備工場やバイク店
- 自治体が認可している粗大ごみ回収連携業者(自治体HPに記載)
まとめ|タイヤの捨てかたに“正解”があります
タイヤは家庭ごみや粗大ごみでは出せず、適切な処分が必要です。
もっとも安全で確実な方法は、カー用品店や整備業者に引き取ってもらうことです。
放置すれば火災や環境リスクにつながりますが、正しく処理すれば約90%がリサイクルされ、資源として再利用されます。
信頼できる業者に依頼して、早めに対応しましょう。