【クールリングの捨てかた】捨てるしか無いの?迷ったら燃えるゴミへ

近年の異常な暑さ対策としてクールリングやネッククーラーと呼ばれる首輪型の冷却グッズが爆発的に普及しました。
街中でも職場でも本当によく見かけるようになりました。
しかし、暑い時期を乗り越え使わなくなった場合にどのように処分すれば良いかご存知でしょうか?
この記事で環境への配慮を考慮した、正しい捨て方について詳しく解説します。
正しい処分方法を知ることで、環境への負担を最小限に抑え安心して使用することができます。


リングの中の液体は何?

クールリングを使ったことがある方はご存じかもしれませんが、中には常温で固まったり液化したりする特殊な液体が入っています。
この不思議な素材の正体は「PCM(Phase Change Material/相変化材料)」と呼ばれるものです。
PCM素材とは?
PCMは、温度変化によって固体⇄液体を繰り返す性質を持ち、その相変化の際に多くの熱を吸収・放出することで冷却効果をもたらします。
冷やして固体となったPCMが液体へと変化する際に熱を奪う性質を利用して冷却効果を持続させています。
なかには、宇宙服の温度調整にも活用されたという記載もあり、「NASA開発」とアピールしている商品も多く見られます。
PCM素材の特徴

- 高い冷却効率:
- 相変化時に大量のエネルギーを吸収または放出するため冷却効果が持続
- 水に比べて10倍程度の熱容量=冷却時間
- 温度の安定性:
- 特定の温度で相変化が起こるため一定温度を保つことができる
- 繰り返し使用可能:
- 相変化を繰り返すことで何度でも繰り返し使用可能
PCM素材の種類
PCM素材にはいくつかの種類がありますが、ネッククーラーやクールリングに使用される主なものは以下の3種類です。
28℃、22℃、18℃などクールリングの設定温度が異なるのは、各社素材や配合、添加剤などを調整して相変化の温度を調整したりしているためだそうです。
- パラフィン系PCM:
- 石油由来のパラフィンを使用したもの。安定性が高く、繰り返し使用が可能。
- 自然由来のPCM:
- 植物から抽出された成分を使用しており、環境への負担が軽減されている。
- 水和塩系PCM:
- 塩水を使用したもの。環境に優しいですが、パラフィン系に比べて冷却効果がやや劣る。
製品によって「28℃タイプ」「22℃タイプ」など設定温度が異なるのは、この素材の配合によって相変化の温度帯を調整しているからです。
正しい捨て方:迷ったら燃えるごみ

クールリングを捨てる際は、基本は「燃えるごみ」でOKです。
現時点では、クールリングの専用回収やリサイクルはほとんど行われていません。
そのため、多くの自治体では燃えるごみ(可燃ごみ)として処分するのが一般的です。
外装がプラスチックやシリコンでも、中身のPCM素材が油分を含んでいるため、分別が難しく、丸ごと燃えるごみで問題ありません。
「中身を出して分別」は基本おすすめしません

一部の情報サイトでは「中の液体は新聞紙に染み込ませて燃えるごみ、外装はプラスチックごみへ」といった分別を推奨している例も見られます。
しかし、以下の理由から分解は推奨されません:
- 液漏れ時のリスク(配管詰まりや環境汚染)
- 廃棄時に中身が固まってしまう可能性
- 外装がPCMに汚染されているとリサイクル不適
家庭で無理に分解せず、そのまま袋に入れて燃えるごみへ出す方が安全かつ確実です。
最近では洗って繰り返し使えるものや、パーツ交換が可能なタイプなど、“長く使えるクールリング”も数多く登場しています。
次に買うときは、使い捨てないための選択をお勧めします。


なぜ正しく捨てる必要があるのか?
環境への影響がある素材

PCMは一見無害に見えますが、以下のようなリスクがあります:
- 排水管や処理施設のトラブル:
- 流しに捨てると固化して配管を詰まらせることも
- 環境汚染の懸念:
- 液体のまま河川や土壌に流れ出た場合、自然分解されず長期間残留する可能性がある
人体には基本的に無害とされているが…
市販のPCM素材は食品グレードのパラフィンや植物油が使われていることが多く、安全性は比較的高いとされています。
ただし、メーカーが明示していない場合もあるため、念のため直接触れないようご注意ください
特に、皮膚への付着や誤飲は避けるべきであり、子どもやペットの手の届かない場所で保管・処分するようにしましょう。
本当にそれでいいの?──制度の整備が求められる
これだけ多くの人に使われているにもかかわらず、クールリングの処分方法について製造元や販売元からの案内は極めて少ないのが現状です。
「自治体のルールに従って捨ててください」だけでは、ユーザーの不安や迷いを解消するには不十分です。
実際には、PCM素材は劣化しにくく、うまく回収・再利用すればリサイクル可能とも考えられます。
将来的には、
- メーカーによる回収プログラム
- 自治体との協働による分別ガイドラインの明確化
といった取り組みが求められるでしょう。
まとめ
クールリングの中には「PCM素材」という油分を含んだ特殊な冷却材が使われており、現時点では多くの自治体で燃えるごみとして処分されています。
環境への影響を避けるためにも、排水への流出や無理な分解は避け、正しく捨てることが大切です。
また、捨てる前に“長く使える選択肢”を考えてみることで、暮らしの中の無駄を減らすことにもつながります。
使用後の処分まで意識することで、より安心してクールリングを活用できます。
