【乾燥剤の捨てかた】シリカゲル・生石灰・塩化カルシウム、分別ルールと注意点

お菓子や靴、海苔のパッケージなど、気づくと家のあちこちに溜まりがちな乾燥剤。
普段意識しない何ともないアイテムですが、実は中身によっては取り扱いに注意が必要です。
この記事では、乾燥剤の種類や中身の成分、安全な捨て方、さらには再利用や回収の可能性についても解説します。
適切な捨て方を知ることで、思わぬ事故を防ぎ、資源循環にも貢献できます。


乾燥剤の種類と見分け方
乾燥剤は、湿気を取り除くことで食品や製品の品質を保つために使われるアイテムです。
中身の成分によって性質が異なり、処分方法や安全性にも関わってきます。
主に次の3種類があります。
シリカゲルタイプ

- 主成分:二酸化ケイ素
- 特徴:最も一般的な乾燥剤。透明または白い粒で、吸湿しても液化せず安全性が高いです。中には吸湿状態を色で示す「青→赤」の再利用可能タイプもあります。
- 使われている例:お菓子、海苔、乾燥食品、医薬品ボトル、革靴や鞄の箱、カメラ・電子機器の保管ケースなど
生石灰タイプ(酸化カルシウム)

- 主成分:石灰石由来の酸化カルシウム
- 特徴:水分と反応すると発熱する性質をもち、やけどや火災のリスクがあります。使用後はすぐに処分することが大切です。
- 使われている例:たくあんや乾物、切り干し大根、保存缶詰、備蓄用乾パンなどの食品パッケージ
塩化カルシウムタイプ

- 主成分:塩化カルシウム
- 特徴:吸湿すると液体化するため、袋の中に水分が溜まることがあります。処分時に漏れないよう注意が必要です。
- 使われている例:靴やバッグの乾燥剤、除湿剤、押し入れや下駄箱用の大型乾燥剤など
見た目が似ていても中身はまったく異なるため、パッケージの成分表示や注意書きをよく確認してから捨てることが重要です。
乾燥剤は何ゴミ?自治体別の分別ルール

乾燥剤の分別は自治体によって異なりますが、以下のような傾向があります。
- シリカゲル・塩化カルシウム系:燃えるごみ/可燃ごみ(多くの自治体)
- 生石灰系:燃えないごみ/不燃ごみ(発熱の可能性から)
自治体別の分別例
自治体名 | シリカゲル・塩化カルシウム | 生石灰タイプ |
---|---|---|
東京都・世田谷区 | 可燃ごみ | 不燃ごみ |
京都市 | 燃やせるごみ | 燃やせるごみ |
横浜市 | 燃やすごみ | 不燃ごみ |
大阪市 | 普通ごみ | 普通ごみ(記載なし) |
名古屋市 | 可燃ごみ | 不燃ごみ(危険物) |
札幌市 | 燃やせるごみ | 不燃ごみ |
福岡市 | 燃えるごみ | 不燃ごみ |
捨てるときの注意点

乾燥剤を捨てる際は、以下の点に注意しましょう。
- 生石灰タイプは「水に濡らさない」ように処分
→ 袋の中で破れていたら、ビニールで包んでおくと安心。 - 液体化した塩化カルシウムは中身を吸わせてから袋へ
→ 中の液が漏れると袋が破れる原因になります。 - 袋に「乾燥剤」と書いておく
→ ゴミ収集員への配慮としても有効です。
乾燥剤はリサイクルできないの?
結論から言うと、家庭から出る乾燥剤は基本的にほとんどリサイクルされていません。
その理由と背景を以下にまとめます。
なぜリサイクルされないのか?

- シリカゲル(主成分:二酸化ケイ素)はガラスや砂に近い素材ですが、粒が細かく不純物も混在しているため、回収・分別・再資源化が困難です。
- 塩化カルシウムや生石灰も、水分を吸って性質が変わるため、再利用やリサイクルに適しません。
- 小さな個包装が多く、包装素材との分離も難しいため、現在の技術やコスト構造では回収の対象とされていません。
産業用途では再利用される例も
- 工業用途のシリカゲル(大型乾燥剤など)は、一部の企業で再生・再充填して再利用される事例もあります。
- ただしこれは管理された産業ルートでの話であり、一般家庭からの回収スキームは存在していません。
今後の課題として
- 現状では「可燃ごみ」として焼却・埋立が主流ですが、乾燥剤の回収・再資源化技術やシステムの開発は今後の課題です。
- サステナブルな包装設計(乾燥剤不要化)や、回収前提の製品設計(Design for Recycling)が求められています。
乾燥剤のよくある疑問Q&A
乾燥剤をうっかり食べてしまったら?

結論から言うと、基本的には大事に至らないケースが多いですが、成分によって対応が異なります。
シリカゲルの場合
- 主成分は無害な二酸化ケイ素(砂の成分)で、少量であれば体内に吸収されずに排出されます。
- ただし食品ではないため、大量摂取や体調に異変がある場合は医療機関に相談してください。
生石灰(酸化カルシウム)の場合【⚠ 要注意】
- 水分と反応して発熱するため、口内や食道を火傷する危険性があります。
- 誤って口にした場合はすぐに口をゆすぎ、牛乳や水を飲んで薄めたうえで、ただちに医療機関を受診してください。
塩化カルシウムの場合
- 強い塩味と刺激があり、胃腸を荒らす可能性があります。
- 少量でも、症状があれば念のため病院へ相談するのが安心です。
安全性に注意!乾燥剤は放置しても大丈夫?

乾燥剤の中でも特に注意が必要なのが「生石灰」タイプです。
- 水と反応して高温になり、やけどや火災の危険があります。
- 生ゴミと一緒に捨ててしまうと、発熱して袋が破裂する可能性も。
- ペットや小さな子どもが誤飲すると危険。口に入れないよう保管を。
特に梅雨時期など湿度の高い季節には、未使用でも周囲の水分を吸収して反応してしまうことがあります。
使い終わったらすぐに処分することが大切です。
シリカゲル・塩化カルシウム系は焼却して大丈夫なの?

結論から言うと、「燃えるごみ」として燃やしてしまって問題ありません。
その理由は、以下の通りです。
■ シリカゲルの場合
一般的には安全で、燃やしても問題なしとされます。
- 主成分は二酸化ケイ素(砂と同じ成分)
- 吸湿しても変質せず、燃焼しても有害ガスを出さない
- 燃えきらずに灰として残ることもありますが、処理施設では問題になりにくいレベルです
■ 塩化カルシウムの場合
こちらも一般的には安全で、燃やしてもで問題なしとされます。
- 吸湿後に水分を含んだ状態になることが多い
- 成分自体は燃えにくいが、有害ガスは発生しない
- 袋に水が溜まっていると破裂や液漏れのリスクあり
まとめ|乾燥剤は正しく分別、安全に処分を
乾燥剤は中身によって安全性や処分方法が異なり、特に生石灰タイプは発熱の危険があるため注意が必要です。
シリカゲルや塩化カルシウムも、自治体の分別ルールを確認して正しく捨てることが大切です。
処分前には成分や破損の有無を確認し安全に出すことで、私たちの行動が資源循環や環境への配慮につながります。