【使い捨てカイロの捨てかた】中身はなに?ゴミ箱に捨てていい?
ここ最近一気に寒くなってきて我が家でもカイロの出番がやってきました。
毎朝1つ封を開けて1日使ったものを夜寝る前にゴミ箱へという生活を何の疑いもなく送ってきましたが、よくよく考えるとカイロは何ごみなのでしょう?
私自身の疑問を解決するためにも、今回はカイロの捨てかたについて記します。
カイロに関する基本情報
カイロの中身はなに?
カイロの中身を調べるため、まずはパッケージの原材料欄を確認してみました。
原材料:鉄粉、水、活性炭、吸水性樹脂、バーミキュライト、塩類
思ったよりシンプルな構成でした。それぞれ次のような役割を持っていて快適な温度になるように絶妙に配分されているようです。
- 鉄粉: カイロの主成分で原料の半分以上を占め、酸化反応により発熱します。
- 水: 鉄粉の酸化を促進します。
- バーミキュライト: 表面の小さな穴により保水剤として機能し水分を保持します。
- 活性炭: 表面の微小な穴で酸素を吸着し酸化反応を促進します。
- 塩: 鉄粉の酸化を助ける触媒の役割を果たします。
また、カイロ本体の布っぽい部分は不織布であり、微孔を開けて空気が透過するようになっているそうです。
なのでカイロの外袋を開けると、内部の鉄粉が空気中の酸素と接触し酸化反応が始まります。
この反応は発熱反応なので暖かくなるとともに、徐々に鉄が水酸化鉄へと変化していき大半が反応し尽くすと暖かくなくなるという仕組みです。
カイロの捨てかたについて
反応が終わった使用済みのカイロは主に水酸化鉄になっているということになりますが、これはどのように捨てるのが適切なのでしょうか?
中身が「鉄」と聞くと燃えるゴミのゴミ箱に放り込んでいたのが間違っていたような気がしてきました。
メーカーの説明は?
まず手元にあった桐灰カイロのパッケージを確認してみました。
- 捨てる時は、市区町村で定める区分に従う。
とのこと。
明確には示してくれないのですね。
市区町村の分別区分は?
では、市町村の分別区分はどうかということで、思いついた主要都市のものを調べました。
- 東京都品川区: 燃やすごみ
- 東京都大田区: 燃えないゴミ
- 神奈川県横浜市: 燃えるゴミ
- 大阪府大阪市: 燃えるゴミ
- 愛知県名古屋市: 燃えないゴミ
- 北海道札幌市: 燃えるゴミ
- 愛媛県今治市: 燃えるゴミ
- 鹿児島県鹿児島市: 燃えるゴミ
自治体ごとに「燃えるごみ」と「燃えないごみ」が入り乱れる何ともややこしい結果になってしまいました。。
恥ずかしながら私自身、なにも考えずにこれまでカイロを燃えるゴミのゴミ箱に捨ててきました。
幸い私の居住地ではカイロは「燃えるごみ」に分類されていましたが、無意識に間違った「捨てかた」をしているということも往々にあると思います。
皆様も改めて注意を向けていただければと思います。
ゴミ箱の向こう側を考える
市区町村の分別指示に従って捨てられたカイロがどのように処理されるのかも調べてみました。
燃えないごみで捨てた場合
カイロを燃えないごみとして捨てた場合、多くは中間処理施設で不純物等を選別された後に最終処分場に送られ埋め立て処理をされることになります。
使用済みカイロの中身の大半が酸化鉄とバーミキュライト(加工された鉱物)なので、いってしまえば「土や砂のようなもの」と捉えることもできそうです。
桐灰カイロのサイトにも、環境に悪影響を与える成分は含まれていないと明記されていましたので、埋め立て処理によって環境汚染等の直接的な原因になるようなものではないのでしょう。
ただしよく言われるように、最終処分場の容量逼迫の原因にはなりますのでどんどん埋め立てればOK!というものではありません。
燃えるごみで捨てた場合
カイロを燃えるゴミに捨てた場合は、他の可燃ゴミと一緒に焼却施設に運ばれて焼却処理されることになります。
ただし、前述の通り中身はほぼ金属と砂のようなものなので、不織布や活性炭などの可燃分は燃えますがそれ以外の大半は、そのまま焼却灰と一緒に出てきてしまいます。
焼却炉の中での処理プロセスを経て無害化されるため環境への影響は最小限と思われますが、それらの焼却灰はやっぱり最終処分場へ運ばれて埋め立て処理されることになるのでやはり埋立地の逼迫などのネガティブな側面が出てきてしまいます。
使い捨てカイロって環境負荷が高いのでは?
ここまで調べてきて、使い捨てカイロって実は環境負荷が高いのではないか?という疑問が大きくなってきました。
文字通り「使い捨て」以外の方法が無い様子で、消費が増えれば増え得るだけ排気量が増えるというモデルは、サステナブルな社会に逆行するのでは?とも思い始めています。
WEB検索だと一部にはカイロのリサイクル方法として「家庭菜園の土として利用する」といった方法も出てきますが、メーカは推奨していないようです。
「環境に悪影響がある物質は含んでいないが、廃棄方法は市区町村お指示に従うこと」というスタンスのようです。
何か良い方法はないものかということで、次の章ではより良いカイロの捨てかたについてまとめます。
カイロのより良い捨てかたとは?
ゴミ箱に捨てる以外の選択肢がないかと思い調べてみました。
それほど多くはないものの、私たちも活用可能な取り組みがありましたので紹介します。
Go Green Japan:使い捨てカイロのリサイクルプログラム
Go Green Japanという団体が使い捨てカイロを回収しリサイクルする活動を行っています。
回収ボックス等で全国から回収されたカイロが再利用され、水質浄化剤や土壌改良剤の原料として生まれ変わり環境保護に貢献しています。
具体的な活動内容
- 回収ボックスの設置:
- 全国の協力店舗や公共施設に回収ボックスを設置し、使い捨てカイロを回収しています。
- 1日に届く使い捨てカイロの収集量は最高で2トンに及ぶそうです。
- リサイクルプロセス:
- 回収されたカイロは、専門のリサイクル施設で処理され、水質浄化剤や土壌改良剤として再利用されます。
参加方法
Go Green Japanの取り組みに参加する方法は大きく分けて下記の2つです。
- 協力店やコミュニティで設置された回収ボックスに使い捨てカイロを持ち込む
- 施設やお店に回収ボックスをおいている場合もあるそうなので、そこに持ち込むだけで簡単にリサイクルすることができます
- 自分で使用済みの使い捨てカイロを溜めておいて自身で発送する(持ち込む)
- 個人での発送も受け付けているので、適量が溜まったら箱に入れて下記の住所へ発送する。
- または、自身で直接持ち込むこともOKとのことです。
使い捨てカイロのあて先:
〒490-1143 愛知県海部郡大治町砂子長田 1178-2
(一社)GoGreenJapan 宛
TEL052-444-5110
カイロの種類・メーカに関わらず回収対象としているので、仕分け等なくそのまま集めて送るだけで簡単です。
ひと冬分も溜めればかなりの量が集まるので、シーズン終わりに発送するといった運用でも良さそうですね。
注意点は下記の通り。
日本冶金工業のリサイクルの取組み(2024.12.2産経新聞WEB版)
消費者が直接的に参加できるプログラムではなさそうですが、2024年12月2日の産経新聞(WEB版)にこんな記事が載っていました。
日本冶金工業、地域で使い捨てカイロ回収 大江山拠点、フェロニッケルに活用
製造所が立地する京都府宮津市と共同で、使用済みの使い捨てカイロをリサイクルする取り組みを開始したとのこと。
使い捨てカイロをリサイクルしてフェロニッケル生産のための原料の一つとして利用するそう。
ところで京都府宮津市ではカイロは「燃やせるごみ」に分類されていました。
ということは、このリサイクルプログラムのためには住民から個別にカイロを集める必要があるということ。
宮津市のHP(https://www.city.miyazu.kyoto.jp/soshiki/5/24469.html)によると、公共施設や学校等で使用済みカイロを集めているみたいです。
企業や行政の働きだけでなく住民の協力も合わせて初めて成り立つリサイクルフローだと思われます。
我々消費者の一手間、捨てる際の行動選択ごみにするか資源にするかの分かれ目になるという好例ではないでしょうか。
ちなみに京都府宮津市とはこの辺り。お世辞にも都会ではなさそうです。
人や物量がそれほど多くない田舎だからできるアプローチというものもあるのでしょう。
カイロの回収・リサイクルについて調べてみましたが、上記2件以外あまり情報がありませんでした。
かなりの量が生産・消費されていると思いますが、「捨てかた」についてはまだまだ整備が必要なのだと思います。
サステナブルなカイロとは!?
調べれば調べるほど、「カイロを使い捨てている場合ではない」という気持ちになってきました。
そこで、使い捨てではないカイロや自然由来のカイロなど、カイロ購入時のより良い選択肢となり得る情報も整理します。
使い捨てにしないカイロ
充電式カイロ
最近では、USBケーブルで充電でき繰り返し使用可能できるタイプのカイロも登場しています。
数時間の保温が可能で、温度調整機能がついているものやモバイルバッテリーとしても使用可能なものなど機能性に優れた製品がたくさんあります。
おしゃれさと機能面、コスパを総合的に考えておすすめなのはFrancfrancやmottoleの充電式カイロあたりでしょうか。
オイル式カイロ
ベンジンやオイルを燃料として使用する昔ながらの燃料式カイロも根強い人気があります。
火を使うため取り扱いには注意が必要ですが、長時間使用可能で繰り返し使用できるためコスパは抜群です。
渋い外観やギアっぽさも相まってキャンプブームに乗ってその界隈ではじわじわと人気を拡大しています。
- 例: ZIPPOのハンディウォーマー
ポータブル湯たんぽ
主に家で使い外へ持ち出す必要がないなら、お湯を入れて使用する湯たんぽもおすすめです。
最近は可愛いデザインのものも増え、機能面でもレンジで温められるものなど、色々と使いやすくなっているようです。
本稿の趣旨からは逸れますが、私も昔ながらの銀色の亀のような湯たんぽを使っていました。
冬の布団の中や机の足元などにおいておくと驚くほど快適です。
まだ湯たんぽを経験されていない方はぜひ!
土にかえるカイロ
環境配慮型カイロ:エコポッカ
宝商株式会社の『エコポッカ』は、従来のカイロに使用される塩化ナトリウムの代わりに、肥料にも使われる塩化カリウムを使用しています。
これにより、使用後のカイロの中身を土に還すことができるだけでなく、塩化カリウムが肥料となり植物の生育を助けることにも繋がります。
使用後にプランターなどに散布すれば、ごみが減り植物が育つ。素晴らしいですね。
ただし注意点として、
散布後1年間は再散布しないでください。
出典:宝商株式会社HP( https://www.hosho.ne.jp/business/bodywarmer )
とHPに記載があるように、やり過ぎは禁物のようです。
土に還せるカイロ:快温くん
オカモト株式会社からも土に還せる地球にやさしいカイロが販売されています。
こちらも同様に塩化カリウムを使用し使用後の中身は土に還して肥料にもなるというものです。
2023年には植物由来のバイオマスインキを使用した印刷を施した業界初の紙パッケージへのリニューアルも実施し、更に環境にやさしい商品になったそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本記事では、使い捨てカイロの捨てかたについて詳しくまとめました。
私自身、何の疑いもなく日々ゴミ箱に投入していた使い捨てカイロですが、そのままではただのごみです。
環境に配慮した製品を選ぶ、充電式カイロやオイル式カイロなどの再利用可能なカイロを活用することで、経済的にも環境的にもメリットがあります。
ぜひこれらの選択肢を検討し、環境に優しいライフスタイルを実践してみてください。