【磁石の捨てかた】無造作に捨てると危険!燃えるゴミに入れないで
磁石は日常生活の中で、冷蔵庫のマグネットからスマートフォンの内部に至るまで様々な場所で使用されています。
その磁石が役目を終えた時、適切に処分する方法を知っていますか?磁石は身近なアイテムですが、その捨て方にはあまり注意が払われていません。
基本は不燃ゴミですが、無造作に捨てると思いもよらぬ事故につながる可能性もあるので、捨てる際には配慮をお願いします。
案外奥の深い磁石の「捨てかた」について、ぜひ最後までお読み下さい。
ごみ収集への出し方と注意点
基本は不燃ゴミ。ただし注意点がたくさん
一般的に、多くの自治体では磁石は「燃えないごみ」または「不燃ごみ」に分類されます。
不燃ゴミは全般的に、買った時の箱に入れるか新聞紙に包んで品名を明記するなどして、回収者が中身がわかるようにして捨てることが推奨されています。
磁石の場合も、そのまま集積所に置くのではなく、箱や紙で包んでまとめて出すようにしましょう。
家庭から出る一般的なサイズや量の磁石は概ねこの方法で処分できます。
可能な限り分別して捨てること
昔は磁石というと赤と青のものや冷蔵庫にはるカラーマグネット程度が主流でしたが、近年では、内部に強力な磁石を含んだ製品が多く出回っています。
イヤホンや小型家電類は言わずもがな、スマホケースやカバンの蓋部分、子供用のおもちゃなどにも、強力なマグネットが使われています。
例えば、カバンを燃えるゴミとして捨てた場合、フラップ部の磁石も当然焼却処理されることになり、燃え残って埋め立てられることになります。
全てとはいかないでしょうが、可能なものは磁石を取り外して分別して捨てることが望ましいです。
捨てる際の注意点:子供や動物へのリスクも
磁石は、鉄や磁石同士でくっつくという性質のせいで、ゴミ処理において少々厄介な存在です。
特にネオジム磁石など強力な磁石は、ゴミ回収車両や搬入先の選別機などの機械にくっついてしまい、取り外すのが困難になり困っているという記事もありました。
家庭から排出する際には、下記の配慮をお願いします。
- 厚紙や新聞紙などで包む
- 磁石を捨てる際は、磁気の影響を軽減するために、厚紙や重ねた新聞紙などで厚く包むようにします。
- 一度に大量に捨てない
- たくさんお磁石が集まると磁力が強まって危険です。 一度に大量の磁石を処分する場合は、小分けにして複数回に分けて処分するか、自治体もしくは専門業者に相談することが望ましいです。
特に、磁力が強い磁石は他の金属と接触しないように注意が必要です。収集員だけでなく、子供が触ってしまって怪我をするということも考えられます。
ルールをも守ると同時に、関係者や子供への配慮も忘れないようにしましょう。
磁石玩具を子供が飲み込んでしまって内臓を損傷するといった事故も起きています。
マグネットパズルの破損に注意-内蔵された強力な磁石を誤飲した幼児の胃や腸に穴があく事故が発生-(発表情報)_国民生活センター (kokusen.go.jp)
無造作に捨てられた磁石を子供が触る、犬や猫などの動物が食べてしまうといった可能性はゼロではないので必ず適切に処理しましょう。
子供を持つ親としても強くお願いしたいところです。
マグネットシートは燃えるゴミ?
ところで、水道やガスの修理点検業者などの広告や車の初心者マークなど使われている「マグネットシート」は燃えるゴミに分類している自治体もあります。
マグネットシートは、薄いマグネット素材に磁力を施したもので、主な素材はフェライト(酸化鉄)と樹脂(ポリエチレンなど)を混ぜて作られています。
磁力がそれほど強くなく、樹脂分が多くて金属分が少ないため、不燃ごみとするより燃やしてしまった方が安全・安価に処理できるということなのでしょう。
最近は子供のお絵かき用にホワイトボードのような大きなマグネットシートがあり我が家でも愛用しています。
これも、いざ捨てる時は燃えるゴミで良さそうです。
捨てた磁石はどう処理される?
不燃ゴミとして捨てた場合はリサイクルされる
自治体が不燃ゴミとして回収した磁石の処理方法は、一般的に以下のような手順で行われます。
- 分別:
- 磁石は他の金属類と分けられ、リサイクル可能な金属として分別されます。
- 脱磁:
- 強力な磁石の場合、脱磁処理が行われることがあります。これにより、磁石が他の金属を引き寄せることを防ぎます。
- リサイクル:
- リサイクルが可能な磁石は、専門の業者によってリサイクル処理されます。例えば、破砕や異物除去を経て、新たな合金原料として再利用されることがあります。
- 最終処分:
- リサイクルに適さない磁石は、最終的には埋立て処分されることが一般的です。
磁石の種類や量によっては、産業廃棄物として扱われることもあるようです。
その場合は専門の処理業者に依頼する必要がありますので、ご不明な点があれば自治体の担当部署にお問い合わせいただくと良いでしょう。
不燃ゴミに捨てたからといって全てのゴミが埋め立てられるわけではありません。
ルールに従って適切に捨てれば、収集した自治体が分別処理して、リサイクル業者へ引き渡したり、専門業者で処理させたりされます。
繰り返しになりますが、まずはルールを守って捨てるということが大事です。
燃えるゴミに混入した場合はちょっと厄介
磁石が誤って燃えるゴミとして出された場合、いくつかの問題が生じる可能性があります。
- 環境への影響:
- 磁石は鉱石を原料としているため、燃焼により有害なガスが発生する可能性があります。
- 特に、生産元不明の安価な磁石は、その製造工程でどのような処理がされているかわからないため注意が必要です。
- 処理施設への影響:
- 磁石が燃焼施設に入ると、磁力によって機械を破損させたり、他のゴミを引き寄せて処理の妨げになります。
- 焼却設備だけでなく、ゴミ収集車にくっついてしまうこともあり、車内の磁石を取り除く作業は危険も伴います。
- くっついた磁石を取るために、設備を停めてメンテナンスをすることもあるようです。
- 安全上の問題:
- 強力な磁石が他の金属を引き寄せることで、ごみ収集車内での事故や作業員の怪我の原因となる可能性があります。
- 特に、ネオジム磁石等の強力な磁石は、指を挟んだり、思いもよらない事故の引き金になる可能性もあります。
- 子供やペースメーカ利用者へのリスク
設備にくっついて機械が故障するといったリスクが上がることは、私たちの日々のゴミ処理が滞るリスクが上がるということです。
そういった意識で、一人一人がいい加減な捨て方をしないようにしたいものです。
磁石の生産と資源・環境問題
ここで、そもそも磁石がどのように生産されているのかということにも触れておきましょう。
磁石は、金属材料を磁化したもので鉱物です。つまり、鉱山で採掘され、精製されて製品になります。
その過程で、大量の水やエネルギーを消費することに加えて、鉱山の開発による生態系への影響も懸念されています。
さらに、ネオジム磁石などの高性能磁石の製造のためにはレアメタルが必要であり、それらの希少資源の枯渇や、生産国における労働者の問題など、様々な問題を孕んでいます。
そういった中で、メーカ各社もサステナブルな磁石材料の開発や、リサイクル材料による磁石生産等にも力を入れているようです。
住友金属鉱山(SMM)のWellmax®SmFeN磁石材料:
SDGs への貢献(Wellmax®SmFeN磁石材料)|X-MINING|住友金属鉱山株式会社 (smm.co.jp)
希土類元素の余剰元素であるサマリウム(Sm)を有効活用したサステナブルな磁石材料で、希土類元素の資源を効率的に利用し、SDGsに貢献しています
Niron Magneticsのクリーンアース磁石:
GMとStellantis、持続可能なEV用磁石の新興企業Niron Magneticsに出資 – ESG Journal (esgjournaljapan.com)
一般的に入手可能な鉄と窒素の原材料を使用した「クリーンアース磁石」を開発中。レアアース材料を含まないサステナブルな磁石の開発を目指す。
意識して磁石を選ぶといったことはまだ一般消費者には難しいですが、何らかの形で応援したいですね。
磁石リサイクルのためにできること
磁石お生産には環境負荷が高いということも確かなため、私たちができることはやはり、リサイクルを促進するということです。
磁石は金属でできているため、金属リサイクルによって再製品化や材料の有効活用が可能です。
特に近年は、ネオジム磁石のようにレアメタルを含んだ磁石も広く出回っています。
それらを適切に回収し、リサイクルして再資源化を図ることが地球環境全体にとっても重要です。
そのために、一人一人が行動を見直し、少しずつ良い方向に進めていきましょう。
- まずは分別を意識しましょう
- 前項で示したように、他のゴミと分別して市町村の指示に従って、適切に処分するようにしましょう。
- 自治体担当者リサイクル業者に相談しましょう
- 大量の磁石や特殊なもの処理したい場合は、自治体の窓口や地域のリサイクル業者に相談してみてください。
- 適切な方法で磁石を再資源化する手助けをしてくれます。
- 違法な回収業者を使わない
- 不用品回収業者の中には、金属など換金可能なもののみを取って金にならないものは山積みにして放置していたり、不法投棄する輩もいます。
- 無料引き取りといった言葉に惑わされず、正規の業者、適切な処理を選びましょう。
まとめ
この記事では、案外奥の深い「磁石の捨てかた」について紹介しました。
基本的には不燃ゴミとしてルールに沿って適切に捨てれば大部分の磁石はリサイクルされます。
一方で、磁石のくっつくという特性上、無造作に捨てると処理工程で厄介ものとなったり、思わぬ事故のもとになる危険も含むということがわかりました。
正しく捨てて正しくリサイクルされる、そのための皆さんの行動選択の一助になれば幸いです。