【歯磨き粉の捨てかた】容器包装プラなのに燃えるごみ? 正しい分別とサステナブルな選択肢

歯磨き粉のチューブに「プラマーク」が付いていることをご存知でしょうか?
これは中身を使い切ったあとの容器包装プラスチックとして、リサイクルの対象になり得ることを示しています。
それにもかかわらず、多くの自治体では「燃えるごみ」として扱われているのが現実です。
なぜこのようなギャップが生じているのでしょうか?
この記事では、その理由と背景をわかりやすく解説しつつ、より良い捨て方とサステナブルな選択肢についてもご紹介します。


プラマークがある歯磨き粉のチューブ|実は「容器包装プラ」です

歯磨き粉のチューブには「プラマーク(容器包装プラスチック)」が表示されていることが多く、リサイクルの対象です。
しかし、実際には多くの自治体で「燃えるごみ」に分類されており、分別ルールと現実の運用にズレがあるのが実情です。
その理由には、以下のような事情があります:
- 中身が残りやすく、洗っても汚れが取りづらい
- プラスチックとアルミの複合素材が使われている
- 軽くて小さいため、リサイクル工程で分別されにくい
つまり、「洗ってプラごみに出す」のが理想とはいえ、現実的にはハードルが高く、結局“燃えるごみ”になってしまうケースが多いというわけです。
歯磨き粉チューブの分別実態|主要都市の例

自治体 | 分別区分 | 備考 |
---|---|---|
東京都世田谷区 | 燃やすごみ | プラマークありでも可燃ごみ扱い |
横浜市 | プラごみ | 汚れがなければ可。ただし汚れている場合は可燃ごみ |
京都市 | 燃やすごみ | プラ製容器でも対象外 |
名古屋市 | 燃やすごみ | 形状や汚れによりリサイクル困難 |
自治体によっては「洗って乾かして出せばプラごみ」として扱われる場合もあります。
ただし、使い終わった歯磨き粉チューブをきれいに洗って乾かすのは、正直手間がかかると感じる方も多いのではないでしょうか。
歯磨き粉のリサイクルプログラムは?
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歯ブラシにはテラサイクルとの連携によるリサイクルプログラム(P&Gやライオンなど)がありますが、歯磨き粉チューブ単体を対象とする回収プログラムは、2025年4月現在では国内でほとんど確認されませんでした。
一部の海外メーカー(Colgateなど)では独自回収があるものの、日本国内では広く展開されていないのが現状です。
したがって、歯磨き粉チューブについては、「容器包装プラであるにもかかわらず、燃やすしかない」という現実が、多くの家庭で直面する分別ギャップの一例と言えるでしょう。
チューブとキャップの材質と分別方法
そもそもチューブ入りの歯磨き粉の容器はどんな素材から構成されているでしょうか?
主な材質

- チューブ部分:
- プラスチック(PE、PPなど)
- アルミとの複合素材(アルミラミネート)
- 金属チューブ(昔ながらのタイプ)
- キャップ(蓋)部分:
- ポリプロピレン(PP)製の硬質プラ
- 一部は再生プラやバイオマスプラも使用
チューブとキャップの捨て方【基本編】

部位 | 材質 | 分別区分 | 備考 |
---|---|---|---|
チューブ(プラ) | PE/PP | 燃やすごみ | 内容物を使い切る or 洗浄 |
チューブ(金属) | アルミ等 | 不燃 or 資源ごみ | 自治体により異なる |
キャップ | PPなど | プラごみ or 燃やすごみ | プラマークがある場合分別対象にできる自治体も |
分別できる場合は、キャップだけプラごみとして出すのも選択肢ですが、実際には「すべて燃えるごみとして処理する」自治体も多いです。
中身が残っている場合の処理方法

そもそも歯磨き粉って?
歯磨き粉の中身にはどんな成分が使われているか、ご存知でしょうか?
一般的な歯磨き粉には、以下のような成分が含まれています:
- 研磨剤(炭酸カルシウム、シリカなど)
- 発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)
- 湿潤剤(ソルビトール、グリセリンなど)
- フッ化物(フッ化ナトリウムなど)
- 香味剤・防腐剤・粘結剤 など
これらの成分は水に溶けるものも多く、少量であれば排水に混ざっても下水処理で分解されます。
ただし、中身が多く残ったままの状態で流すと、排水処理施設に負担がかかる原因にもなりかねません。
正しい捨て方:
- しっかり絞って中身を使い切る。
- 残っている場合は水ですすいで乾かす。
- 分別区分に従って処分する。
理想は「きれいに洗ってプラごみへ」ですが、前述の通り手間がかかるため、無理のない範囲で実践することが大切です。
歯磨き粉と歯ブラシに共通する課題
歯ブラシもまた、プラスチック主体であるにもかかわらず、リサイクルが難しいとされる製品の代表格です。
それでも近年は、歯ブラシについてはテラサイクル連携プログラムや学校回収事例が広まりつつあります。
歯磨き粉チューブも、今後こうした動きが拡大する可能性があります。

サステナブルな歯磨き粉選びという選択肢
最近では、以下のような環境配慮型の製品も登場しています:
- パウダータイプ・紙パック包装:可燃ごみとして処理可、軽量
- タブレットタイプ:詰め替え式やコンパクト包装あり
- 詰め替えチューブ式製品:繰り返し使えるボトル付き
- 再生可能素材使用チューブ:リサイクルPEなどを使用
こうした製品を選ぶことで、そもそも「ゴミとしてどう処分するか」という悩み自体を減らすことができます。
おまけ|歯磨き粉の年間廃棄本数は?

1人あたり年に6〜8本使うと仮定すると…
日本全国で年間7〜8億本ものチューブが捨てられている計算になります。
それがすべて「焼却・埋立」されているとすれば、相当な資源ロスです。
まとめ
歯磨き粉のチューブは、プラマークが付いていても多くの自治体で「燃えるごみ」として扱われています。
これは、汚れや素材構造の問題から、実際のリサイクルが難しいためです。
現状では専用の回収プログラムもほとんどなく、ほぼすべてが焼却処分されています
だからこそ、できる範囲で中身を使い切り、洗って分別する意識を持つことが大切です。
日常の選択とひと手間が、資源循環への小さな一歩につながります。