【傘の捨てかた】分解してリサイクル→買わない捨てないシェアの時代へ
日本は傘の消費量世界一で、同時に廃棄量も世界一でだそうです。
そのためかどうか、街を歩いていると道端に落ちている壊れた傘、割と頻繁に見かけます。
雨を防ぐという唯一の機能を失った傘を捨てて帰りたいという気持ちは分からなくもないですが、良い気はしません。
この記事では、壊れた傘や不要になった傘を正しく捨てる方法について詳しく紹介します。
正しい捨て方を知ることで、環境への負担を減らしリサイクルや再利用の促進にもつながることを期待しています。
傘の捨てかた(基本編)
傘の種類と素材について
傘の材質は、処分方法やリサイクルの可否に大きく影響します。ここでは、主な傘の種類とその材質について詳しく見ていきましょう。
一般的な布張りの傘
- 骨組み: 金属(アルミニウムやスチール)が一般的
- アルミニウムは軽量で錆びにくく、スチールは強度が高い
- カバー: 布製(ポリエステルやナイロン)
- ポリエステルは耐久性があり、ナイロンは軽量で速乾性がある
折り畳み傘
折り畳み傘は、材質は普通の傘と似ていますが軽量化のため一部の点で異なります。
- 骨組み: 金属(主にアルミニウム)やプラスチック
- 軽量なアルミニウム製が多く、より軽量なプラスチックも使用される
- カバー: 布製(ポリエステルやナイロン)
- 基本的には一般的な傘と同じ
ビニール傘
- 骨組み: 金属(主にスチール)
- 強度が高く低コストなスチール製が一般的
- カバー: ビニール素材(ポリエチレンやポリプロピレン)
- 安価なためビニール傘に最適
日傘
一般的な傘や折り畳み傘に似ているが、紫外線を防ぐためのコーティングなどが施されています。
- 骨組み: 金属(アルミニウムやスチール)
- カバー: 特殊なUVカット素材(ポリエステルやナイロン)
- 一般的な布製の傘の表面に特殊加工したものや、アルミコーティングしたものなどが一般的
各部品の分別方法
骨組み
- 金属部分: 金属(アルミニウムやスチール)は多くの自治体で「不燃ゴミ」または「金属ゴミ」として扱われます。
- プラスチック部分: 折り畳み傘などに使用されるプラスチック部分は「可燃ゴミ」として処分されることが多いです。
カバー
- 布製カバー: ポリエステルやナイロンなどの布製カバーは「可燃ゴミ」として処分されることが一般的です。
- ビニールカバー: ビニール素材(ポリエチレンやポリプロピレン)はリサイクルが難しいため、「可燃ゴミ」として処分されることが多いです。
- UVカット素材: 日傘の特殊なUVカット素材もリサイクルは難しく「可燃ゴミ」として処分されることが一般的です。
自治体ごとの分別方法の違い
いくつかの自治体における傘の分別方法について調べてみました。
そのまま「不燃ごみ」というところもあれば分解してそれぞれ捨てないといけないところもあり、考え方はバラバラです。
東京都
- 分別方法: 傘は「不燃ゴミ」として扱われます。金属部分と布部分を分ける必要はなく、そのまま不燃ゴミとして出すことができます。
- 収集日: 指定された不燃ゴミの収集日に出します。
千葉市
- 分別方法: 傘は「不燃ゴミ」として扱われます。他の不燃ゴミと一緒に10Lまたは20Lの不燃ゴミ指定袋に入れて出します。傘が袋からはみ出しても構いません。
- 収集日: 指定された不燃ゴミの収集日に出します。
横浜市
- 分別方法: 傘は分解してから捨てる必要があります。金属製の骨組みは「小さな金属類」として、布やビニール部分は「燃やすゴミ」として分別します。プラスチック製の骨組みは「燃やすゴミ」として処分します。
- 収集日: 各分別に応じた収集日に出します。
名古屋市
- 分別方法: 傘は「不燃ゴミ」として扱われます。分解する必要はなく、そのまま不燃ゴミとして出します。
- 収集日: 指定された不燃ゴミの収集日に出します。
京都市
- 分別方法: 傘は1袋2本までであれば「燃やすゴミ」として扱われます。3本以上まとめて出す場合は「大型ごみ」として扱われます。
- 収集日: 燃やすゴミの収集日または大型ごみの収集日に出します。
松山市
- 分別方法: 傘は長さにかかわらず「粗大ゴミ」として扱われます。粗大ゴミ申込みはがきを使用して申し込み、収集日を指定されます。
- 収集日: 申し込み後に指定された収集日に出します。
傘の捨てかたと分別方法
そのまま捨てて良いとされている地域であっても、分解して素材ごとに適切に捨てることでリサイクルに回るなど環境への貢献ができます。
種類や素材が違っても分解の基本的な手順は同じで簡単なので、以下を参考に分別してから捨ててください。
傘の分解方法
露先:ホネの先端のプラスチックキャップや糸でカバーを留めている部分
・プラスチックキャップの場合は手で引っ張ると外れる場合が多い。
・折り畳み傘などは糸で止まっていることが多いのでハサミで切断。
石突き:傘の先端のキャップ。プラスチック製のものが多いが一部金属の場合も
・折り畳み傘の場合はネジ留めのものが多いので反時計回りに捻れば外れます
上記で外れるものが大半だが、どうしても外せない部分はハサミでカバーを切断
一体型のものは諦める
傘のリサイクルプログラム
ビニール傘が普及したことを背景に、傘に対する「使い捨て」の意識が強くなっているのではないでしょうか?
そんな状況に一石を投じるべく、ここでは一般消費者も参加可能な「傘のリサイクルプログラム」を紹介します。
環境への負担を減らし資源を有効活用するためにぜひ活用してください。
PLASTICITY:ビニール傘リサイクルプログラム
PLASTICITY(プラスティシティ)は、捨てられたビニール傘を再利用して高品質な製品を提供するブランドです。
彼らの「Umbrella Recycling Program」は一般消費者が参加できるリサイクルプログラムで、環境保護と資源の有効活用を推進しています。
プログラムの概要
PLASTICITYのビニール傘リサイクルプログラムは、不要になったビニール傘のビニール部分を回収し、PLASTICITYの製品に再利用する取り組みです。
- 回収対象:
- 透明や乳白色のビニール傘(ポリエチレン製)が対象
- ポリエステル傘やキャラクター入りの傘、色付けされた傘は対象外
- 参加方法:
- 不要になったビニール傘を分解して送付することで、PLASTICITYの製品の素材としてりさあいくる利用される
- 特典:
- 回収されたビニール傘1枚につき100円分のポイントに交換され、PLASTICITYの公式オンラインストアで利用できる
- 寄付:
- ポイントの代わりに、回収されたビニール傘の買取額を認定NPO法人「greenbird」に寄付することも可能
プログラムの流れ
ビニール傘のホネからビニールカバーを取り外します。
カバーに付属のプラスチック部分もハサミで取り除きビニールだけの状態にします。
ポイント付与を受けるためにはメンバー登録が必要です。
登録ページから必要事項を入力して登録してください。
ビニール傘のカバー部分(ビニール部分)を畳んで、封筒や紙袋等で梱包して発送します。
送料は発送者負担になるのでご注意ください。
到着した傘素材を確認後、1枚につき100ポイント(最大10000ポイント)が付与されます。
寄付の場合は、傘素材1枚あたり70円をNPO法人「greenbird」に寄付されます。
製品素材としての再利用
回収されたビニール傘は独自の方法で何層にも重ねられ、職人さんの熟練した技術で裁縫されることで高品質なトートバッグやショルダーバッグなどの製品に生まれ変ります。
PLASTICITYの製品はその素材の特性から軽くて耐久性や防水性に優れるという機能性に加え、透明感のある独特の質感とシンプルで洗練されたデザインが特徴です。
捨てればゴミとして燃やされるビニール傘が製品に生まれ変わり価値を高める、これこそ持続可能な資源循環のあり方ではないでしょうか。
ぜひその製品を手に取ってみてください。
傘は買わずにシェアする時代
これからは、傘を買わずにシェアする時代がやってきました。
便利なだけでなく、環境保護にも貢献できるためこれからの時代にぴったりの選択肢です。
以下に、主要な傘のシェアリングサービスを紹介します。
ぜひ、これらのサービスを利用して、傘を買わずにシェアする新しい生活スタイルを取り入れてみてください。
アイカサ
アイカサは、日本全国で展開されている傘のシェアリングサービスです。
アイカサの特徴は、どこでも借りられて好きな場所で返せる便利さとビニール傘を買うよりも安価で利用できる点です。
- 利用方法:
- アイカサの公式アプリをダウンロードし、マップから現在地周辺のアイカサスポットを探します。QRコードをスキャンして傘を借り、使用後は近くのアイカサスポットに返却します。
- 料金:
- 24時間140円で利用可能。月額プランもあり、無制限で利用できるプランも提供されています。
- 設置場所:
- 駅や商業施設、オフィスビルなど、全国に広がるアイカサスポットで利用できます。
アイカサでは旭化成ホームプロダクツと連携して、使用済みのZiploc(ジップロック)を原料にした傘の提供も行っています。
ビニール傘の削減に加えて、不要になったジップロックのリサイクルにも貢献できる素晴らしい取り組みだと思いますので、皆様ぜひご活用ください。
エアカサ
エアカサは法人向けの傘のシェアリングサービスです。
学校や会社、公共施設などを対象に、丈夫な長傘と晴雨兼用日傘を専用什器にセットして提供しています。
- 利用方法:
- 専用什器にセットされた傘を自由に利用できます。
- 返却も同じ場所に行います。
- 設置場所:
- 学校、会社、公共施設など。
Re:傘プロジェクト
Re:傘プロジェクトは使用済みのビニール傘を回収し、リサイクルして新しい傘として再利用する取り組みを行っています。
環境保護と資源の有効活用を目指しています。
- 利用方法:
- Re:傘の自動販売機で傘を購入し使用後は回収ボックスに返却します。
- 返却時にはポイントが付与されます。
- 料金:
- nanacoカードなどの電子マネーで支払いが可能。
- 設置場所:
- 駅や商業施設など。
まとめ
この記事では、傘の捨てかたから回収リサイクルサービス、そしてシェアリングサービスまで、傘に関するさまざまな情報を紹介してきました。
壊れた傘や不要になった傘を適切に処分する方法を知ることで、環境への負担を減らし、リサイクルや再利用の促進に貢献できます。
そしてこれからは「傘を捨てる」ことはなくなっていくのかもしれません。
この記事がきっかけに、傘のリサイクルやシェアリングを通じて持続可能な社会の実現に向けて一歩を踏み出してみて下さい。