【ジップロックの捨てかた】リサイクルプログラムのご紹介/捨てるなら燃えるごみ
【傘の捨てかた】の記事を書いていたときに出てきて面白い取り組みだったので、スピンオフ的に記事にすることにしました。
キッチンでお馴染みジップロック(Ziploc)専用のリサイクルプログラムがあることをご存知でしょうか?
使用済みのジップロックを回収してリサイクルする取り組みです。
皆さんに広く普及してほしいという思いから、ジップロックリサイクルプログラムの概要と、プラスチックの捨てかたについてまとめます。
ジップロックリサイクルプログラムとは?
ジップロックリサイクルプログラムは、使用済みのジップロック製品を回収し、新しいプラスチック製品に生まれ変わらせる取り組みです。
リサイクルプログラムの概要
このプログラムは、ジップロックの販売元である旭化成ホームプロダクツとメーカと協力してさまざまな製品のリサイクルに取り組むTerraCycleが協力して実施しています。
家庭はもちろん、学校や公共施設、職場などコミュニティ単位でジップロックを集めて回収することで、ビニール傘やトングといったプラスチック製品にリサイクルされます。
対象のジップロックは次のとおり。
ジップロックをリサイクルして作られた傘は、傘のシェアリングサービス「アイカサ」で実際に使用されています。
リサイクルプログラム参加の流れ
家庭で使い終わったジップロックを綺麗に洗い、乾燥させて集めます。
食品残渣や水が残っていると、回収・収集の段階で不衛生な状態になるので、事前の処理が大事です。
各家庭や協力施設単位で、回収ボックス等を使って使用済みジップロックを集めます。
2kgから回収可能なので頑張って数を集めます。
フリーザバッグで100〜200枚、タッパタイプで40〜50個程度が2kgの目安です。
充分量が溜まったら、テラサイクルのHPから対象プログラムを選択し回収依頼します。
※回収には、テラサイクルへの会員登録が必要です。
回収量に応じてポイントが付与されます。
付与されたポイントはNPOなどに寄付することが可能です。
回収されたジップロックは、洗浄・分別され、新しいプラスチック製品に再生されます。
回収されたジップロックの活用方法
回収されたジップロックはリサイクルされ、傘やトングなどの新しい製品に生まれ変わります。
傘のシェアリングサービス「アイカサ」
ジップロックをリサイクルして作られた傘をシェアリングサービスとして提供する取り組みです。使い捨て傘の廃棄問題の解決に貢献しています。
このビニール傘、BEAMS COUTUREが「傘を積極的に使いたくする」をコンセプトにデザインされたそうです。
ジップロックのカラーリングが再現され表面にはバッチリZiplocの文字が浮かんでいて、リサイクルで環境貢献するだけでなく広告効果も抜群です。
傘の大量廃棄問題とシェアリングサービスについては、下記記事でも触れていますのでぜひご覧ください。
手作り傘キット
環境に配慮したオールプラスチック傘を制作し、日本における傘のゴミ問題について啓発を行っているCa Et La(サエラ)は、ジップロックをリサイクルした素材を使用した傘の手作りキット「SORAKASA KIT」を提供しています。
自治体や教育機関におけるワークショップを通じて、傘やプラスチックの廃棄問題について考え、リサイクルの重要性を学びながらオリジナルの傘を作ることができます。
ゴミ拾いトング
ジップロックコンテナーをリサイクルしたオリジナルのジップロックトングも製作されています。
海浜清掃を行う団体などへ提供し、ゴミ拾いイベント等で活躍しています。
2022年からは女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」との清掃活動にも採用され、スタジアム周辺やホームタウンを綺麗にする活動でも、ジップロック製のゴミ拾いトングが活躍しています。
ジップロックリサイクルプログラムまとめ
使い終わったジップロックが傘になったりトングになったりと、第2の人生を歩むという素晴らしい取り組みです。
製品プラスチックのリサイクルが難しい理由は、不純物にあります。
その点、ジップロックは製造段階でかなり厳しく原材料や加工管理がされているのでそもそもの不純物が少ないです。
そしてこのプログラムでは、対象をジップロックのみに絞って回収することで純度の高い原料が集まるので効率的なリサイクルを可能にしています。
個々の製品に対して、我々消費者側が正しく集め回収することができれば、資源を有効活用できるという事を示す好例ではないでしょうか。
そもそもジップロックは何ごみ??
ところで、当サイト「捨てかたinfo」的にはジップロックの捨てかたに触れないわけにはいきません。
そもそもジップロックの素材は?分別方法は?といった部分もまとめていきます。
ジップロックの素材は何?
そもそもジップロックの素材が何かわかるでしょうか?
プラスチックぽいけど、いざ何?と言われると難しいと思います。
バッグタイプ
- 素材: ポリエチレン(PE)
- 特徴:
- 柔らかく、冷えても脆弱にならいため冷凍保存に適している。
- 熱には弱く、熱湯や電子レンジでの使用は不可(耐熱温度:約100℃)
タッパタイプ
- 素材: ポリプロピレン(PP)
- 特徴:
- 硬くて形状維持しやすい。
- 耐熱性があり、熱湯や電子レンジでの使用も可能です(耐熱温度:約120℃)
ジップロックの分別方法
プラスチックなのでリサイクルと思われる方も多いかと思いますが、多くの自治体ではまだ「燃えるゴミ」として分類されています。
ジップロックの素材であるPEやPPは一般的にプラスチックと呼ばれますが、実はジップロックにはプラマークはついていません。
あまり意識されることはないと思いますが、日本では、プラスチック製品のリサイクルを促進するために、容器包装プラスチックとその他のプラスチックを区別しています。
現在、「プラ」マークが表示されリサイクルされているのは、「容器包装プラスチック」のみです。
2022年の新プラ方の施行によって一部地域では製品プラスチック(硬質プラスチック)を分別回収する動きも出てきていますが、まだ限定的です。
プラスチックを燃やすごみで良いの?
少し環境意識の高い方にとっては、プラスチックを燃えるゴミとして捨てることに抵抗がある方もいるかもしれません。
私も当初は違和感を持っていました。いや、分別してリサイクルした方がいいでしょ!と。
ここでは、プラスチックの焼却処理について環境配慮の観点から簡単にまとめます。
なぜ焼却なのか
- プラスチックを簡単に・確実に分解できる
- プラスチックは主に炭素(C)と水素(H)から成る高分子化合物なので、焼却すると二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に分解されます。
- 廃棄物の体積を大幅に減らすことができる
- プラスチックを焼却するとほとんど残さが残りません。ゴミの量を大幅に減容することができます。
- エネルギー回収が可能
- プラスチックは非常に燃えやすいため、ごみ焼却における燃料的な側面があります。
- 焼却時に発生する熱を利用して発電する「ゴミ焼却発電」によって「サーマルリサイクル(=熱として再利用)」することができます。
環境への影響・懸念
- CO2の排出
- プラスチックは主に炭素(C)と水素(H)から成る高分子化合物なので、焼却すると二酸化炭素(CO2)が排出される。
- 有害物質の発生
- プラスチックに含まれる塩素(Cl)分の影響で、焼却時にダイオキシンなどの有害物質が発生する可能性があります。
- 現在の焼却施設では適切に排ガス処理されており、ほぼ問題になることはありません。
まずは燃やすで良い
海洋プラスチック問題などが話題になって久しいですが、あの問題の本質はプラスチックが分解されずに海洋流出してしまっていることです。
要はポイ捨てです。つまり、モラルの問題です。
まずはルールに従ってちゃんとゴミ箱に捨てる。そして適切に焼却処分して分解する。
これによって海洋流出するプラスチックは確実に減少します。
まずはちゃんと燃やす。これで良いと思います。
CO2の排出がー、とかリサイクルをー、とかいうのはその次のステップだろうというのが、現在の私の考えです。
プラスチックの分別については次の記事でも纏めていますのでご覧ください。
昨今話題のプラスチック問題はかなり奥が深いので別途まとめようとも思っています。
気長にお待ちください。
まとめ
使用後のジプロックをごみとして捨てると、焼却処理されて水(H2O)と二酸化炭素燃に分解されます。
ポイ捨てして海洋プラスチックになるよりは100万倍よいですが、CO2の排出や資源循環の観点からは物足りません。
ここで紹介したリサイクルプログラムを活用することで、ジップロックを素材のまま傘などの他の製品に生まれ変わらせ、暮らしに役立てることができます。
この記事をきっかけに、1人でも2人でもジップロックリサイクルプログラムに参加されることで、持続可能な社会の実現に少しだけ寄与できれば幸いです。