【ガラスの捨てかた】割れたガラスも安全に!正しい処分と注意点

コップやガラス皿、割れてしまった窓ガラス、ガラス細工など、家庭から出る“ガラス製品”の処分に困ったことはありませんか?
「燃えないゴミ?」「資源ごみ?」「割れていたら別扱い?」──ガラスは形状や状態によって注意点が多く、思わぬケガやトラブルにつながることも。
この記事では、ガラスごみ(例:グラス、窓ガラス、ガラス雑貨など)を安全かつ適切に処分するためのポイントや、間違った分別によるリスクまでを分かりやすく解説します。
ガラスってどんな素材?

ガラスは、主に「ケイ砂(石英砂)」にソーダ灰や石灰石などを加え、高温で溶かして作られる人工的な非結晶(アモルファス)素材です。
透明で硬く、化学的にも安定していることから、食器、窓、照明、装飾品など幅広い用途で使われています。
ただし、衝撃に弱く割れやすいことや、リサイクルの際に他素材との混合が難しいといった特性もあり、家庭での処分時には注意が必要です。
ガラスにはさまざまな種類があり、素材によって処理方法が異なります。
ガラスにも種類はさまざま

- ソーダ石灰ガラス:
- 最も一般的なガラスで、グラスや窓ガラスなどに使われます。
- 耐熱ガラス(ホウケイ酸ガラス):
- 急激な温度変化に強く、理化学器具や耐熱食器に使用。通常のガラスと成分が異なるためリサイクル不適。
- 強化ガラス:
- 加熱・急冷により強度を高めたガラス。割れると粒状に砕け安全性が高く、テーブルトップや浴室扉などに使われます。
- 合わせガラス:
- 2枚のガラスの間に樹脂膜を挟んだ構造で、割れても飛散しにくく、自動車や防犯窓などに使用されます。
これらの特殊ガラスは、成分や製造方法の違いにより一般的なガラスびんと一緒に再資源化できないため、通常は「不燃ごみ」として処分するのが基本です。
ガラスは何ゴミ?基本の分別ルール

ガラス製品は、多くの自治体で「不燃ごみ」または「燃やせないごみ」に分類されます。
ガラスのコップや皿、窓ガラス、ガラス細工などがこれに該当します。
「飲料用のガラスびん」は資源ごみとして回収されるケースが多いため、ビンとそれ以外のガラスを混同しないように注意が必要です。
※ガラスびんの詳細については、別記事「びんの捨て方」にて詳しく紹介します。
「ガラスびんは資源ごみ」なのに、それ以外のガラスはリサイクルされない?
一見どれも「ガラス」なのに、なぜガラスびんは資源ごみでリサイクルされ、コップや窓ガラスは不燃ごみ扱いになるのでしょうか?
その違いには、設計思想とリサイクルの仕組みの違いがあります。
- ガラスびんはリサイクル前提でつくられている:
- 素材が均一(ソーダ石灰ガラス)で、色別に機械選別しやすく、全国的な回収ルートと再資源化の設備が整っています。
- 一方で家庭用ガラス製品は…:
- 耐熱ガラスや強化ガラスなど素材が多様で、不純物(塗装・金属部品など)も混入しやすく、分別・再利用が困難。
- コストや安全面からもリサイクルには不向きです。
そのため、コップや窓ガラス、ガラスの置物などは「資源ごみではなく、不燃ごみとして処分」するのが基本となっています。
ガラスを捨てる前に確認したい3つのこと
ガラスは必ず包んで「キケン」と明記

割れたガラスは、そのままごみ袋に入れると非常に危険です。新聞紙や厚紙、布などでしっかりと包み、「キケン」「割れ物」などと大きく明記しましょう。
実際に、ごみ収集作業員が手を切る事故や、処理施設の選別ラインでの負傷事故が報告されています。
また、収集所に置かれたごみ袋に子どもやペットが近づいてしまうケースもあり、家庭外での事故につながる可能性もあります。
見た目では危険性がわかりにくいため、「包む」「二重袋にする」「明記する」の3点を徹底しましょう。
決められた日に出す(※基本ルール)

ガラス製品は多くの自治体で「不燃ごみ」として扱われますが、その回収頻度は隔週や月に1回程度と少ない場合もあります。
割れたガラスは早く処分したくなるものですが、収集日以外に出すと事故やトラブルの原因になるため、必ず決められた日に出すようにしましょう。
特に、収集場所や玄関先に長期間置いておくと、風で袋が破れたり、子どもやペットが触れてケガをする危険もあります。
見た目には分かりづらい破片が周囲に飛散することもあるため、安全面からも注意が必要です。
ごみ収集カレンダーで不燃ごみの収集日を確認し、自治体の指示に従って適切に出しましょう。
サイズが大きいものは粗大ごみ扱いに

窓ガラスやガラステーブル、ガラス棚などの大型ガラス製品は、自治体によって「粗大ごみ」として扱われることがあります。
処分には事前の収集申込みや粗大ごみ処理券の貼付が必要な場合もあるため、必ず自治体のルールを確認しましょう。
また、回収場所まで運ぶ際や収集時に割れて飛散しないようにすることも重要です。
ガムテープで養生したり、段ボールや厚手の布で包むなどして、破損やけがの防止対策を施しましょう。
分別を間違えるとどうなる?ガラスごみのトラブル例
ガラスごみの誤った分別は、思わぬ事故や環境・施設へのトラブルを引き起こします
以下のような影響があることを知っておきましょう。
収集・選別時のけがや事故

ガラス片が可燃ごみや資源ごみに混入していると、ごみ袋を開けた瞬間に作業員が手を切る事故が起こることがあります。
また、選別ラインに投入された際に破砕され、細かな破片が飛散して作業員の目や手を傷つけるリスクもあります。
特に、割れていることが外から分からないまま捨てられていると、事故の危険性が一気に高まります。
ごみ処理現場で働く人々の安全を守るためにも、適切な分別と明記が必要です。
ごみ処理施設の設備トラブル
ガラスが可燃ごみに混ざってしまうと、焼却炉の内部に残留して処理温度の管理に支障をきたすほか、排ガス処理設備に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、破砕設備に異物として混入すると、ラインの詰まりや搬送装置の故障、機械の損傷といった深刻なトラブルの原因にもなります。
実際に一部自治体では、分別ミスによる施設停止や修理対応により、多額のコストと時間を要したケースも報告されています。
リサイクル工程への悪影響
耐熱ガラスや鏡など、特殊な成分を含むガラスが誤って「資源ごみ(ガラスびん)」として混入すると、リサイクル工程で問題が発生します。
再溶解時に溶け残りや異物となって製品不良を引き起こす可能性があり、最終的に回収されたガラスびん全体がリサイクル不可となることも。
再資源化の効率が大きく下がるだけでなく、処理コストの増加やリサイクル信頼性の低下にもつながります。
回収されたその後は?処分・再資源化の行方
不燃ごみとして処分された場合

ビンを除くガラス製品の多くは「不燃ごみ」として回収された後、破砕・選別処理を経て、最終的に埋立処分されます。
ガラスは自然界ではほとんど分解されず、長期間にわたり残留するため、埋立地の容量を圧迫する要因にもなります。
また、陶磁器や金属などと混合された状態で処理されるため、再利用が難しく、資源としての価値が低くなってしまうのが現状です。
こうした背景からも、そもそも廃棄量を減らす努力が重要とされています。
おまけ|ガラスが割れたときに便利なアイテム

ガラス片を集めやすい「専用ほうき&ちりとり」
ゴム製や静電気対応のほうき・ちりとりセットなら、床を傷つけずに細かいガラス片をしっかり集められます。
微細な破片まで除去できる「粘着クリーナー」
コロコロタイプの粘着シートは、目に見えないような小さな破片の除去にも便利。
掃除機より安全で確実です。
包装・処分に役立つ「厚手のビニール袋」
割れたガラスを安全に捨てるために、破れにくく密閉性の高いゴミ袋は必須。
新聞紙や厚紙とセットで使いましょう。
まとめ:安全に処分し、事故や環境負荷を防ごう
家庭で出るガラス製品は、びんを除いてほとんどが「不燃ごみ」として処分されます。
割れたガラスはしっかり包み「キケン」と明記するなど、作業員や周囲への安全配慮が必要です。
また、分別を間違えるとリサイクルや処理施設への影響も大きくなるため、ルールを守って確実に処分しましょう。