【ビンの向こう側】回収されたガラスびんは何になる?色分けとカレットの資源循環
飲み終わったガラスびん。
透明、茶色、緑色……。
どうして「色」まで分けて回収するのでしょうか?
飲み物や調味料、食品など、身近なところで使われているガラスびん。
使い終わったびんは、自治体のルールに従って資源ごみとして出すことができます。
地域によっては、
- 無色
- 茶色
- その他の色
と、色ごとに分けて回収していることもあります。
「どうせ全部ガラスなのに、なぜ色まで分けるの?」
そう思ったことはないでしょうか。
実は、この「色」が、ガラスびんをもう一度資源として使ううえで大切なポイントになります。
さらに、同じガラスに見えるコップや耐熱ガラスなどを、びんと一緒に出せない場合があるのにも理由があります。
ガラスびんは、ただ「ガラスだからリサイクルできる」のではありません。
素材の種類や色、品質を守りながら次へつなぐことで、再び資源として利用できるのです。
今回は、回収されたガラスびんを追いかけながら、ガラスという素材の向こう側をのぞいてみましょう。
ガラスびんは、なぜ資源として集められる?
ガラスびんの主な原料には、けい砂、ソーダ灰、石灰石などが使われています。
これらの原料を高温で溶かし、成形することでガラスびんがつくられます。
そして、使い終わったガラスびんも、再びガラスをつくるための原料として利用できます。
回収されたびんを細かく砕き、再びガラス原料として使える状態にしたものが「カレット」です。
新しいびんをつくるときには、天然資源からつくられる原料だけでなく、このカレットも利用されています。
つまり、家庭から出した一本のびんも、
びん → カレット → 新しいガラス製品
と、次のものづくりへ戻る可能性を持っています。
ただし、ここで重要なのが、
「ガラスなら何でも一緒に溶かせばいい」というわけではない
ということです。
そもそも、なぜ家庭で分別するの?

回収されたびんは、どうやって再びガラスになる?
家庭などから回収されたガラスびんは、そのまま溶かして新しいびんになるわけではありません。
次の原料として使えるよう、いくつもの工程を通ります。
まずは、びんを選別する
回収されたびんの中に、対象ではないものが混ざっていれば取り除きます。
自治体によって回収方法は異なりますが、色ごとの選別も重要な工程です。
資源ごみの選別そのものについては、別の記事で詳しく紹介しています。
分けた資源ごみは、そのあとどうなる?

びんを砕いて「カレット」にする
選別されたびんは細かく砕かれます。
こうして、新しいガラスをつくる原料として利用できる状態にしたものが「カレット」です。
びんとしての形はいったんなくなりますが、ガラスという素材は残ります。
PETボトルが砕かれて「フレーク」になったように、ガラスびんもいったん製品としての形をなくし、素材へ戻るわけです。
異物を取り除く
砕けば、それですぐ原料になるわけでもありません。
金属や陶磁器など、ガラス原料として利用する際に問題となる異物を取り除く必要があります。
そして、品質を整えたカレットが、新しいガラスをつくる原料として利用されます。
再びガラス製品へ
カレットは、けい砂などの原料とともに高温で溶かされ、再びガラスになります。
そこから成形され、新しいガラスびんなどへ。
びんだったものが素材へ戻り、もう一度びんになる。
ガラスにも、そんな循環があります。
なぜ、びんを「色」で分けるの?
ここが、ガラスびんのリサイクルを理解するうえで重要なところです。
透明でも茶色でも、溶かしたら同じガラスになるんじゃないの?

実は、そうではありません。
ガラスびんには、無色透明のものだけでなく、茶色や緑色などさまざまな色があります。
これらの色は、ガラスに含まれる成分などによってつくられています。
そして、一度色のついたガラスを混ぜて溶かしても、簡単に無色透明へ戻せるわけではありません。
たとえば、無色のカレットの中に色付きのガラスが多く混ざれば、無色びんをつくるための原料として使いにくくなります。
だから、回収されたびんを色ごとに分ける。
色分けは、見た目をそろえるためではありません。
次にどんなガラスをつくれるのか。
その再生原料としての品質を守るための分別なのです。
家庭で「透明」「茶色」「その他」と分けることも、ガラスの品質を次へつなぐ一工程。
色を分ける理由は、その先のものづくりにあります。
「その他の色」はどうなる?

無色や茶色のびんに比べて、緑色や青色など「その他の色」のびんは、同じ色のびんへ戻すことが難しい場合があります。
色や品質などの条件によって、びん以外の用途へ利用されることもあります。
つまり、
ガラスびんを回収した=必ず同じガラスびんに戻る
とは限りません。
どのような品質のカレットをつくれるかによって、その先の使い道も変わります。
ここでも、「リサイクルできるか」だけではなく、どのような循環へつなげられるかを見ることが大切です。
同じ「ガラス」なのに、なぜコップは混ぜられない?
もう一つ、ガラスびんでよく迷うのがこちらです。
割れたコップもガラスなんだから、びんと一緒に出していい?

見た目だけなら、確かにどちらもガラスです。
しかし、「ガラス」と呼ばれるものがすべて同じ性質を持っているわけではありません。
- ガラスびん
- ガラス製のコップ
- 耐熱ガラス
- 板ガラス
- 鏡
- さらに見た目が似ている陶磁器
それぞれ原料の組成や、溶ける温度、性質などが異なる場合があります。
こうしたものがびん用のカレットに混ざると、ガラスを溶かす工程で完全に溶けなかったり、製品の品質に影響したりする可能性があります。
だからこそ、
「ガラスに見えるから、びんと一緒でいい」
とは限らないのです。
資源として循環させるためには、同じように見えるものの中から、次の工程で使えるものをきちんと分ける必要があります。
割れたコップや耐熱ガラスなどの出し方は自治体によって異なるため、お住まいの地域のルールを確認してください。
異物が少ないほど、次のガラスへつなぎやすい
ガラスびんの循環を邪魔するのは、びん以外のガラスだけではありません。
- 中身が残っている
- キャップがついている
- 陶磁器などが混ざっている
- 回収対象ではないものが入っている
こうしたものは、次の工程で取り除かなければなりません。
もちろん、選別や異物除去の設備もあります。
でも、
「あとで機械が分けてくれるから、家庭では適当でいい」
というわけではありません。
これは資源ごみ選別の記事でも見てきた通りです。
- 家庭で適切に分ける
- 収集する
- 選別する
- 異物を取り除く
- カレットにする
- そして、新しいガラスへ戻す
それぞれの工程が品質をつないでいくことで、ガラスは次の製品へ生まれ変わることができます。
びんには、「砕かずに使う」という道もある
ここまで紹介してきたのは、使い終わったびんを砕き、カレットへ戻して新しいガラスをつくるリサイクルです。
でも、びんにはもう一つ特徴的な循環があります。
びんの形をそのまま残して、もう一度使う。
リターナブルびんです。
リサイクルは「素材として使う」
使い終わったびんを砕いてカレットにし、再びガラス製品をつくる。
これは、ガラスという素材を循環させる方法です。
リユースは「びんのまま使う」
一方、リターナブルびんは、使用後に回収して洗浄し、検査したうえで、びんそのものを再び容器として使用します。
つまり、
びん → 回収 → 洗浄 → びん
です。
いったん溶かしてつくり直す必要がありません。
同じ「使い終わったびんをもう一度活かす」でも、
形を残したまま使うリユース
と、
素材へ戻して使うリサイクル
では、循環の仕方が違います。
PET記事で「何に再生されるかによって循環のかたちが違う」と見てきましたが、ガラスびんにも複数の循環があります。
「リサイクル」という言葉だけでは見えない違いを知ると、資源循環の世界が少し立体的に見えてきます。
リターナブルびんって、どんなびん?

ビールびんや一升びんなどには、回収・洗浄して繰り返し使用する仕組みがあるものがあります。
ただし、ガラスびんなら何でも洗って再利用できるわけではありません。
繰り返し使用することを前提としたびんと、それを回収して再び使用する仕組みがあって初めて成立します。
リユースには、びんを溶かしてつくり直さず、そのまま繰り返し使えるという特徴があります。
日本ガラスびん協会が紹介する試算では、500mLのビール中びんを100km圏内で20回リユースした場合、リサイクルされないワンウェイびんと比べ、温室効果ガス排出量を77%削減できるとされています。
ただし、この効果は輸送距離や使用回数などの条件によって変わります。
だからこそリターナブルびんでは、
「繰り返し使えるびん」だけでなく、「回収して戻す仕組み」まで含めて考えること
が大切なのです。
家庭での分別が、ガラスの品質を次へつなぐ
ガラスびん一本を分別する。
それだけなら、ほんの数秒です。
でも、その先では、
- 収集する
- 色を分ける
- 異物を取り除く
- 砕いてカレットにする
- 原料として調整する
- 溶かす
- 新しい製品へ成形する
という工程が続いています。
その入口にあるのが、家庭での分別です。
- 中身を残さない
- キャップなどを決められた方法で外す
- びん以外のガラス製品を混ぜない
- 必要なら色を分ける
- そして、自治体などが定める回収方法へ出す
一つひとつは小さな行動です。
でも、その分別が、「次のガラスをつくれるカレット」へつながる最初の一手になります。
「ガラスだから資源になる」のではありません。
色や種類を分け、異物を取り除き、次に使える品質へつなぐことで、ガラスはもう一度資源になります。
まとめ|ガラスは、「分けること」で次の品質をつないでいる
使い終わったガラスびんは、回収されたあと選別され、砕かれてカレットになります。
そのカレットが、新しいガラスをつくる原料として利用されます。
でも、ガラスなら何でも一緒にできるわけではありません。
- 色が違う
- 組成が違う
- 性質が違う
- 異物が混ざる
その違いによって、次につくれるガラスの品質や使い道が変わります。
だから、びんを分ける。
必要に応じて色も分ける。
びん以外のガラスを混ぜない。
私たちが家庭で行う分別には、その先のものづくりにつながる理由があります。
そして、びんには砕いて素材へ戻すだけでなく、洗ってそのまま繰り返し使うリターナブルびんという道もあります。
「捨てたあと、どうなるか」を知ると、「なぜ、この分け方なのか」が見えてくる。
次にガラスびんを資源ごみへ出すとき。
透明か、茶色か。
びんなのか、別のガラス製品なのか。
ほんの少しその向こう側を思い浮かべるだけで、いつもの分別の意味も違って見えるかもしれません。
ほかの「素材の向こう側」ものぞいてみる
ガラスびんでは、色や種類を分けて、次のガラスに必要な品質を守ることが循環のポイントでした。
でも、素材が変われば、循環の仕方も変わります。
PETボトルは、どうやって再びボトルへ戻るのでしょうか。
アルミ缶とスチール缶では、循環の仕方にどんな違いがあるのでしょうか。
紙は、何度でも新しい紙へ戻せるのでしょうか。
金属や、さまざまな種類があるプラスチックはどうでしょう。
素材ごとに、それぞれ違った「向こう側」があります。
気になる素材から、その旅をのぞいてみてください。
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