【紙ごみの向こう側】紙は燃えるのに、なぜ分ける?古紙循環の仕組み
新聞や段ボールって、燃えるのにどうしてわざわざ分けるの?

新聞、段ボール、お菓子の空き箱、紙袋。
どれも紙なので、焼却施設へ運ばれれば燃やすことができます。
それなら、なぜ私たちは「燃えるごみ」とは別に、古紙や資源ごみとして紙を分けているのでしょうか。
その理由は、紙が「燃やせるもの」であると同時に、「もう一度使える資源」でもあるからです。
燃やせば、その紙の役目はそこで終わります。
一方、古紙として適切に回収されれば、紙をつくっている繊維を取り出し、新しい紙の原料としてもう一度利用することができます。
ただし、すべての紙をリサイクルすればよい、という単純な話でもありません。
紙の種類や状態によって、リサイクルに向くものと向かないものがあります。
今回は、紙がゴミ箱を出たあと、どのような道をたどるのかをのぞいてみましょう。
紙は燃える。それでも分けるのはなぜ?
紙は可燃物です。
燃えるごみとして焼却施設へ運ばれれば、燃焼して処理されます。
施設によっては、そのときに発生する熱を回収し、発電や熱利用に活用することもできます。
つまり、紙を燃やすことそのものが間違いなわけではありません。
では、なぜ新聞や段ボールなどをわざわざ分別するのでしょうか。
理由は、その紙にまだ「素材としての使い道」が残っているからです。
新聞や段ボールなどの古紙には、紙をつくるための繊維が残っています。
適切に回収すれば、その繊維を取り出し、新しい紙の原料として利用できます。
燃やせるから燃やす。
それも一つの処理方法です。
しかし、まだ紙として使えるのであれば、燃やす前にもう一度「紙」として利用する道があります。
「燃えるかどうか」と「燃やすのがよいかどうか」は、少し違う話なのです。
燃えるごみに出した紙がその後どうなるのかは、「燃えるゴミの向こう側」で紹介しています。

回収された古紙は、どうやって新しい紙になる?
資源として分けた紙が、そのまま新しい紙になるわけではありません。
回収された古紙は、種類ごとに分けられ、紙以外のものを取り除き、再び紙をつくるための原料へ戻されます。
ここからは、古紙がもう一度「紙」になるまでの旅を見てみましょう。
まずは、紙を種類ごとに分ける
古紙とひとことで言っても、すべて同じではありません。
代表的なものだけでも、
- 新聞
- 段ボール
- 雑誌
- 雑がみ
- 紙パック
などがあります。
使われている紙の性質や、次につくる紙に求められる品質が違うため、古紙も種類ごとに分けて回収・利用されます。
家庭で新聞と段ボールを分けて出すことにも、その先の再利用につながる理由があるのです。
水の中で、紙を繊維にほぐす
回収された古紙は、紙の原料として使える状態に戻していきます。
その工程で重要になるのが、紙を水の中でほぐすことです。
紙は、細かな植物繊維が絡み合ってできています。
水と一緒にかき混ぜることで、紙という形を崩し、繊維が分散した状態へ戻していきます。
ここが、紙リサイクルのおもしろいところです。
新聞や段ボールという「モノ」をそのまま再利用するのではなく、一度「紙の繊維」に戻しているのです。
紙以外のものを取り除く
回収された古紙には、紙だけが入っているとは限りません。
金属やプラスチック、粘着物などが混ざることもあります。
こうした異物を取り除き、次の紙をつくるために使える原料へ整えていきます。
古紙をきれいに分けて出すことが大切なのは、この後の工程にも関係しています。
もう一度、新しい紙へ
整えられた古紙パルプは、新しい紙をつくる原料として利用されます。
水分を含んだ繊維を広げ、脱水し、乾燥させることで、再び「紙」になっていきます。
- 紙
- 古紙
- 紙の繊維
- 新しい紙
私たちが資源として分けた一枚の紙は、こうして次の紙へとつながっていきます。
同じ紙でも、生まれ変わる先は違う
紙を種類ごとに分けるのには理由があります。
新聞、段ボール、雑誌、紙パックでは、使われている紙の性質も違えば、再生後に求められる品質も異なります。
そのため、回収された古紙は、それぞれの特徴に合った次の製品へ利用されています。
新聞は、新聞などの原料へ
回収された新聞古紙は、新しい新聞用紙などの原料として利用されます。
読み終われば役目を終えたように見える新聞も、紙の繊維まで不要になったわけではありません。
古紙として回収されることで、次の紙へ引き継がれていきます。
段ボールは、再び段ボールへ
ネット通販や引っ越しなど、私たちの暮らしで大量に使われている段ボール。
使用後に回収された段ボールも、新しい段ボールをつくるための重要な原料になります。
箱としての役目を終えても、また別の箱を支える材料になれるのです。
雑誌や雑がみも、紙製品の原料になる
雑誌や、お菓子・ティッシュなどの紙箱、包装紙、紙袋などの「雑がみ」も、回収ルートに乗れば紙製品の原料として利用できます。
燃えるごみとして何気なく捨ててしまいやすい紙だからこそ、自治体の資源回収の対象になっていないか、一度確認してみる価値があります。
紙パックは、トイレットペーパーなどへ
牛乳などに使われる紙パックも、古紙資源の一つです。
紙パックには品質の高いパルプが使われており、回収されたものはトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの原料として利用されます。
同じ「紙」でも、その特徴によって次の役割は変わります。
紙は、何度でも紙に戻れる?
ここまで見ると、
だったら、紙はずっとリサイクルし続ければいいんじゃない?

と思うかもしれません。
しかし、紙の循環には限界があります。
紙の繊維は、少しずつ変化していく
紙をリサイクルするときは、水の中で紙をほぐし、繊維を取り出します。
この工程を繰り返すうちに、繊維は少しずつ短くなったり、傷んだりしていきます。
やがて、紙をつくる原料として利用しにくくなる繊維も出てきます。
つまり、紙は資源として循環できますが、同じ繊維を永久に使い続けられるわけではありません。
新しいパルプも、紙の循環を支えている
古紙を使うことと、新しい木材由来のパルプを使うことは、単純な二者択一ではありません。
循環の中で失われたり、短くなったりする繊維を補いながら、紙という素材を社会の中で使い続ける必要があります。
古紙をできるだけ活かしながら、新しい繊維も加わる。
紙の資源循環は、そうした組み合わせによって成り立っています。
これは、「リサイクルさえすれば資源を永遠に使える」というわけではないことも教えてくれます。
では、燃やした方がいい紙もある?
紙は資源になる。
だからといって、すべての紙を古紙回収へ出せばよいわけでもありません。
紙の中には、汚れや加工、使われている素材などによって、古紙の原料として利用するのが難しいものがあります。
ここでも大切なのは、その紙に合った道へ渡すことです。
汚れた紙は、リサイクルに向かないことがある
食品や油などでひどく汚れた紙は、古紙の原料として利用できない場合があります。
例えば、食品が付着した紙や、油を多く含んだ紙などです。
「紙でできているから資源ごみ」と考えて混ぜてしまうと、かえってリサイクルの妨げになることがあります。
古紙に混ぜてはいけない「禁忌品」もある
見た目は紙でも、古紙回収に適さないものがあります。
加工された紙や、紙以外の素材と組み合わされたものなどは、製紙工程で問題を起こすことがあります。
こうしたものは「禁忌品」として、古紙に混ぜないよう案内されている場合があります。
何が対象になるかは自治体や回収方法によって異なるため、
「紙だから全部まとめる」のではなく、地域の分別ルールを確認することが大切です。
シュレッダーした紙なら、紙だからリサイクルできる?

実は、シュレッダーした紙の扱いも自治体や回収方法によって異なります。
資源として回収する地域もあれば、燃えるごみとして扱う地域もあります。
細かくすれば何でもリサイクルしやすくなる、というわけではないのです。
「シュレッダーごみの捨てかた」では、細断した紙の分別や処分方法を詳しく紹介しています。

家庭でできることは「まだ使える紙を、紙として渡すこと」
紙のリサイクルには、選別や製紙などさまざまな工程があります。
でも、家庭で私たちがすることは、それほど難しくありません。
資源として回収できる紙を、
- 地域のルールに合わせて分けて出すことです
- 新聞や段ボールを分ける
- 雑がみとして回収できる紙を燃えるごみに混ぜない
- 古紙に向かない紙は無理に混ぜない
その小さな分別が、紙を次の紙へつなぐ入口になります。
燃える紙をすべて資源にする必要はありません。
反対に、資源としてまだ使える紙を、すべて燃やす必要もありません。
その紙にまだ「紙としての次の役割」があるのか。
ゴミ箱へ入れる前に少しだけ考えることが、紙の循環につながります。
個人情報や機密情報が書かれた紙も、「燃やす」「シュレッダーする」以外に、情報を守りながら資源として回収する方法があります。
「機密書類の捨てかた」では、溶解処理という選択肢も紹介しています。

まとめ|紙は燃える。でも、まだ紙として使えるかもしれない
紙は燃える素材です。
焼却施設で適切に処理することも、紙の行き先の一つです。
しかし、新聞や段ボール、雑がみなど、まだ紙の原料として利用できるものには、その前にもう一つの道があります。
- 古紙として回収し
- 分けて
- 繊維に戻し
- 新しい紙をつくる
そうすることで、一度使った紙をもう一度資源として活かすことができます。
一方で、紙の繊維は永久に循環できるわけではありません。
汚れや加工によって、リサイクルに向かない紙もあります。
だから大切なのは、
「紙だから燃やしていい」でも、「紙だから全部リサイクル」でもありません。
その紙に合った道へ渡すことです。
燃えるごみと資源ごみ。
家庭ではほんの少しの分別の違いですが、その向こう側では紙の行き先が大きく変わります。
次に紙を捨てるとき、
「これは燃える紙?」だけではなく、「まだ使える紙?」
と考えてみる。
それが、紙の資源循環につながる最初の一歩です。
ほかの「素材の向こう側」ものぞいてみる
紙は、繊維を取り出し、もう一度紙の原料として利用することができます。
でも、素材が変われば、循環の仕方も変わります。
PETボトルは、どうやって再びボトルへ戻るのでしょうか。
ガラスびんは、なぜ色ごとに分ける必要があるのでしょうか。
アルミ缶やスチール缶は、どのように金属資源へ戻るのでしょうか。
金属製品は、どのように形を変えて社会へ戻っていくのでしょうか。
そして、さまざまな種類があるプラスチックはどうでしょう。
素材ごとに、それぞれ違った「向こう側」があります。
気になる素材から、その旅をのぞいてみてください。
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