【保冷剤の捨てかた】中身は何?燃えるゴミ?環境への影響は?

ピクニックのお弁当や冷凍食品、ケーキなどを買ったときについてくる「保冷剤」。
気がつくと冷凍庫の奥にたくさん溜まっていませんか?
いざ捨てようとすると「これって燃えるゴミ?」「中身って流していいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、主にケーキ屋さんやスーパーなどで貰える使い捨てタイプの保冷剤について、適切な捨て方や環境への影響、そもそも貰わないという選択肢まで含めて解説します。

保冷剤の中身は何?

一般的な使い捨て保冷剤の中身は、高吸水性ポリマー(SAP)と呼ばれるゲル状の物質です。
紙おむつなどにも使われている素材で、水を吸ってゼリー状に固まる性質があります。
保冷剤の中身の構成は次のようになっています:
- 水:98〜99%
- 高吸水性ポリマー:1〜2%
一部の製品には、防腐剤や色素が加えられている場合もあります。(grapee.jp)
なお、人体に害はないと言われていますが食品用ではありませんので、誤って口にすると健康被害の恐れもあります。
また、環境中にそのまま流すことも避けなければいけません。
保冷剤は何ゴミ?分別ルールは?

保冷剤の分別ルールは自治体によって多少異なりますが、基本的には「可燃ごみ」として処分するのが一般的です。
具体的には以下のような対応が見られます:
- そのまま可燃ごみ(外装・中身とも)
- 中身は紙やビニールに包んで、外装と一緒に可燃ごみ
一部自治体の例:
自治体名 | 分別区分 | 備考 |
---|---|---|
世田谷区 | 可燃ごみ | 特記事項なし |
板橋区 | 可燃ごみ | 特記事項なし |
千葉市 | 可燃ごみ | アイスノン(保冷剤)は可燃ごみとして分類されています |
柏市 | 条件により異なる | ゼリータイプは可燃ごみ。ハードタイプは不燃ごみ |
西東京市 | 不燃ごみ | 保冷剤は不燃ごみとして分類 |
捨てかたに関する疑問

燃えるゴミで本当にいいの?
保冷剤の中身であるポリマーは合成樹脂の一種で、基本的には焼却可能な素材です。
したがって「燃えるゴミ」で問題ありません。
ただし:
- 水分を多く含んでいるため、焼却効率は悪くなります
- 粘性のあるゲルが処理設備に負荷をかけることも
中身を捨てるのはどうなのか?
「中身だけを流して処理すればラクでは?」と思うかもしれませんが、これは絶対にNGです。
高吸水性ポリマーは水を吸うと数十倍に膨らむため、排水口や配管内で詰まりやすくなり、下水処理場でも処理が困難になるそうです。
また、万一河川や海に流れ出すと、マイクロプラスチックの一因にもなります。
中身に有害性はあるの?
使い捨て保冷剤の中身である「高吸水性ポリマー(SAP)」は、一般的には非毒性・非揮発性とされています。
そのため通常使用では人体に直接害を及ぼすものではありませんが、口に入れたり、肌に長時間触れたりすると次のようなリスクが指摘されています:
- 経口摂取:消化器への刺激や腹痛、嘔吐などを引き起こす可能性
- 皮膚接触:敏感肌の方や長時間接触では、かぶれや炎症の原因になることも
- 目に入った場合:角膜への刺激、充血や痛みなどの症状
また、防腐剤や色素が添加されている製品では、微量ながら環境ホルモンに類似した作用を持つ物質が含まれている可能性も指摘されています。
環境中への影響は?
保冷剤の中身に含まれるポリマーは、自然界では分解されにくく、マイクロプラスチックとして残るおそれがあります。
水中の微生物への影響や、他の有害物質を吸着して拡散するリスクも報告されています。
そのため、「中身を流す」ことはNGで適切にごみとして処理することが重要です。
回収・リサイクルプログラムはないの?
現時点では、使い捨て保冷剤のリサイクル回収プログラムは存在していません。
衛生面や中身の成分が一定でないこと、分別や再資源化が難しいことから、資源としての再利用はされていないのが現状です。
貰わないという選択肢も!

使い捨て保冷剤は、頼まなくても自動的についてくることが多いですが、「受け取らない」という選択も可能です。
店舗によっては、申し出れば保冷剤をつけずに包装してくれるケースも増えてきています。
状況に応じて、以下のような工夫ができます:
保冷の必要がない場合は、断る
たとえば自宅が近かったり、購入した食品をすぐに冷蔵庫へ入れられるようなタイミングでは、保冷剤は必ずしも必要ではありません。
「保冷剤は結構です」とひとこと伝えるだけで、無駄な資源の使用を防ぐことができます。
実際、多くのスーパーマーケットや洋菓子店では、持ち帰り時間を確認して保冷剤の有無を判断しているため、意志表示をすることで柔軟に対応してもらえます。
保冷が必要な場合は、あらかじめ準備する
買い物前に再利用可能な保冷剤や保冷バッグを持参することで、使い捨て保冷剤に頼らずに済みます。
例えば:
- 再凍結できる保冷剤(ジェルタイプ)
- 内側がアルミ蒸着の保冷バッグ
- 折りたたみ可能なクーラーバッグ
は、持ち運びやすく繰り返し使えて便利です。
こうしたアイテムを取り入れることで、「必要なときだけ、必要な手段で冷やす」という意識が身につき、環境にも財布にもやさしいライフスタイルへとつながっていきます。


まとめ
保冷剤は、高吸水性ポリマーを主成分としたゲル状の素材でできており、多くの自治体で可燃ごみとして処分されます。
ただし、中身を排水口に流すと詰まりや環境汚染の原因となるため、絶対に避けるべきです。
そもそも使い捨ての保冷剤を必要以上に受け取らないように意識し、断る・持参するなどの工夫を取り入れることで、廃棄物を減らし、よりサステナブルな生活に近づけます。