【プラごみの向こう側】なぜ分けるの?燃やせるプラスチックの資源循環
最近、プラスチックを分けて出すようによく言われるけど……
そもそもプラスチックって、燃えるんじゃないの?

お菓子の袋、食品トレー、シャンプーのボトル、プラスチック製の日用品。
私たちの暮らしの中には、たくさんのプラスチックがあります。
最近では、こうしたプラスチックを「資源」として分けて回収する自治体も増えてきました。
でも、少し不思議に思いませんか。
プラスチックは燃えるのに、どうしてわざわざ分けるのでしょうか。
以前は燃えるごみとして出していたものが、今では資源として回収されている地域もあります。
その向こう側をのぞいてみると、プラスチックを「燃やして処理するもの」だけではなく、できるだけ資源として循環させようとする社会の変化が見えてきます。
今回は、少し複雑なプラスチックの行き先を、一緒にのぞいてみましょう。
プラスチックは燃える。それでも分けるのはなぜ?
まず最初に確認しておきたいことがあります。
プラスチックは燃えます。
焼却施設へ運ばれれば、ほかの燃えるごみと一緒に焼却することができます。
焼却時に発生する熱を回収し、発電や熱利用に活用している施設もあります。
つまり、
「プラスチックを燃やすこと=間違った処理」ではありません。
では、なぜわざわざ分けるのでしょうか。
理由の一つは、燃やしてしまう前に、まだ資源として使えるプラスチックがあるからです。
適切に回収し、選別することができれば、新しいプラスチック製品などの原料として利用できるものがあります。
燃やせる。
でも、資源としてもう一度使える可能性もある。
だから、すべてを最初から燃えるごみとして扱うのではなく、資源として循環させられるものを分けて回収する取り組みが進んでいます。
「燃えるかどうか」と、「燃やすのがよいかどうか」は、同じではないのです。
燃えるごみに出したものが、その後どのように処理されるのか。
焼却施設へ運ばれたごみの行方はこちらで詳しく紹介しています。

なぜ最近、プラスチックの分別が注目されている?
プラスチックそのものは、最近になって登場した素材ではありません。
それなのに、なぜ今になって「プラスチックを分けよう」と言われる機会が増えているのでしょうか。
背景には、プラスチックとの付き合い方そのものを見直そうという動きがあります。
私たちの暮らしには、たくさんのプラスチックがある
プラスチックは、軽く、丈夫で、加工しやすい便利な素材です。
食品の包装から家電、自動車、医療用品まで、さまざまな場所で使われています。
一方で、容器や包装など、一度使ったあと比較的短期間で不要になるものも少なくありません。
便利だからこそ大量に使われ、その後どう扱うのかが大きな課題になっています。
「燃やして処理する」だけではなく、資源として使う方向へ
これまで日本では、プラスチックの一部をリサイクルしながら、焼却処理も広く行われてきました。
しかし、プラスチックの多くは石油などの化石資源からつくられています。
限りある資源をできるだけ有効に使うこと。
焼却によって発生する化石由来のCO₂を減らしていくこと。
海洋プラスチックをはじめとする環境への流出を防ぐこと。
こうしたさまざまな課題を背景に、プラスチックをつくるところから、使い、回収し、再び利用するところまで、社会全体で見直す動きが進んでいます。
分別ルールも少しずつ変わっている
以前から、食品トレーや包装フィルムなどの「容器包装プラスチック」を分けて回収してきた地域は多くあります。
さらに近年では、容器包装だけでなく、プラスチック製品も含めて資源として回収する取り組みが広がっています。
そういえば、以前は燃えるごみだったプラスチック製品も、最近は一緒に回収するようになったかも?

そうした変化の背景には、プラスチックという資源を、できるだけ循環させていこうという社会の動きがあります。
自治体によって分け方が違いやすいのも、プラごみの特徴
そして、プラスチックの分別を少しややこしくしているのが、自治体によって回収するものや出し方に違いがあることです。
例えば、ある地域では容器包装プラスチックだけを資源として回収していても、別の地域ではプラスチック製の日用品なども一緒に回収していることがあります。
同じようなプラスチック製品でも、
- プラスチック資源として回収する
- 燃えるごみとして回収する
- 大きさなどによって別の区分になる
など、地域によって扱いが変わることがあります。
同じプラスチックなのに、どうして全国で同じ分け方じゃないの?

その理由の一つは、ごみを集めた先の仕組みも地域によって違うからです。
- どのような分別区分で収集しているのか
- どのような選別設備や処理施設を利用しているのか
- 回収したプラスチックを、どのようなルートで資源化するのか
地域ごとにこうした条件が異なるため、家庭での分別方法にも違いが生まれます。
さらに近年は、容器包装だけでなく製品プラスチックも資源として回収できる仕組みが整えられ、回収対象を広げる自治体も出てきています。
そのため、「以前は燃えるごみだったから」と思い込まず、現在住んでいる自治体のルールを確認することが大切です。
分別ルールだけを見ると、地域によってバラバラで分かりにくく感じるかもしれません。
でも、その「分け方」の向こう側には、地域ごとに異なる収集・選別・リサイクル・焼却の仕組みがあります。
なぜ自治体によって、ごみの分別ルールは違うのでしょうか。
その背景には、地域ごとの収集方法や処理施設など、さまざまな事情があります。

分けたプラスチックは、そのあとどうなる?
家庭で分けたプラスチックは、そのまま新しい製品になるわけではありません。
回収されたあと、選別や処理を経て、それぞれの状態に合った道へ進んでいきます。
そして、ここからがプラスチックの少し複雑なところです。
分別して回収されたプラスチックが、すべて同じ方法でリサイクルされるわけではありません。
まずは、資源として使えるものを選別する
回収されたプラスチックには、さまざまな種類や形状のものが含まれています。
さらに、汚れたものや、プラスチック以外の異物が混ざっていることもあります。
そのため、まずは選別を行い、その後の処理に適した状態へ整えていきます。
家庭での分別は、この長い工程の入口にあたります。
もう一度、プラスチックの原料へ
回収したプラスチックを選別・洗浄・破砕などして、新しいプラスチック製品の原料として利用する方法があります。
いわゆる「マテリアルリサイクル」です。
身近なプラスチックが、別のプラスチック製品へ姿を変えて使われる。
これは、プラスチックを素材として循環させる方法の一つです。
原料に近い状態へ戻す方法もある
プラスチックを化学的な方法で分解し、化学製品などの原料として利用する方法もあります。
「ケミカルリサイクル」と呼ばれる方法です。
一口に「プラスチックをリサイクルする」といっても、その方法は一つではありません。
素材や品質、回収された状態などによって、さまざまな技術が使われています。
リサイクルが難しいものは、焼却されることもある
回収されたプラスチックのすべてが、再びプラスチックの原料になるわけではありません。
状態や処理方法によっては、焼却されるものもあります。
焼却施設では、安全に処理するとともに、その熱を発電や熱利用に活用することがあり、「サーマルリサイクル」と呼ばれます。
ここで覚えておきたいのは、
「分別した=すべて同じようにリサイクルされる」わけではない
ということです。
プラスチックには、いくつもの行き先があります。
「マテリアル」「ケミカル」「サーマル」。
プラスチックのリサイクルには、いくつかの考え方があります。
【Comming Soon:プラスチックのリサイクル方法|マテリアル・ケミカル・サーマルの違い】
だったら、全部リサイクルすればいいのでは?
資源として使えるのであれば、
それなら、全部のプラスチックをリサイクルすればいいんじゃない?

と思うかもしれません。
しかし、これが簡単ではありません。
私たちがまとめて「プラスチック」と呼んでいるものは、実はかなり複雑だからです。
「プラスチック」は、一つの素材ではない
身の回りのプラスチックには、PET、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど、さまざまな種類があります。
それぞれ性質が異なるため、同じ方法ですべてを再利用できるわけではありません。
普段の生活では全部まとめて「プラスチック」に見えていても、その中身は一つではないのです。
汚れたプラスチックもある
食品などに使われた容器や包装には、汚れが残っている場合があります。
こうした汚れは、その後のリサイクル工程に影響することがあります。
だからこそ、自治体によっては「中身を使い切る」「軽く汚れを落とす」などの出し方が案内されています。
ただし、どこまで洗う必要があるのかなど、具体的なルールは地域によって異なります。
一つの製品に、いくつもの素材が使われている
さらに難しいのが、複数の素材を組み合わせた製品です。
一見すると一枚のプラスチック包装でも、性能を高めるために複数の素材が重ねられていることがあります。
プラスチック以外の金属や紙などが組み合わされている製品もあります。
便利な製品をつくるための工夫が、使用後のリサイクルでは難しさになることもあるのです。
プラスチックは一つではない。
だから、その行き先も一つではありません。
PETボトルもプラスチックの一種ですが、比較的まとまった回収・再資源化の仕組みがつくられています。

では、プラスチックを燃やすのは悪いこと?
ここまで「資源として循環させる」という話をすると、焼却することが悪いことのように感じるかもしれません。
しかし、そう単純ではありません。
プラスチックは燃やしやすいが、単純じゃない
リサイクルが難しいプラスチックを、安全・衛生的に処理するために焼却には重要な役割があります。
そして、日本の焼却施設では、燃焼によって発生した熱を回収し、発電や熱利用に活用している施設もあります。
一方で、プラスチックの多くは化石資源からつくられています。
燃やせば、そのプラスチックを素材として再び利用することはできなくなり、化石由来のCO₂も発生します。
だからこそ、
資源として循環できるものは、できるだけ適切な回収ルートへ。
リサイクルが難しいものは、その性質に合った方法で適切に処理する。
という考え方が重要になります。
焼却は、単に「燃やして終わり」ではありません。
安全・衛生的な処理、減容、環境対策など、さまざまな役割があります。

プラスチックは「よく燃える」。だから発電にも影響する
プラスチックは、紙や生ごみなどと比べて高い熱量を持つものが多くあります。
だったら、プラスチックが多い方がよく燃えて、発電にもいいんじゃない?

そう思うかもしれません。
しかし、焼却施設では「たくさん燃えればよい」というわけではありません。
焼却炉は、想定されたごみの量や発熱量などをもとに設計されています。
ごみの性質が変われば、燃焼温度や必要な空気量、排ガス量などにも影響します。
発熱量が高くなりすぎれば、燃焼を安定させるための制御や設備への負荷にも関わります。
つまり、プラスチックは単なる「よく燃えるごみ」ではなく、焼却施設の運転にも影響を与える存在なのです。
「よく燃えるなら、発電には有利なのでは?」
ごみ焼却発電では、ごみの量だけでなく、ごみ質や発熱量、燃焼の安定性なども重要になります。

プラスチックの循環は、いまも変わっている
プラスチックをめぐる仕組みは、完成したものではありません。
- 回収する対象を広げる
- より細かく素材を選別する
- 再生材を新しい製品に利用する
これまでリサイクルが難しかったものを、別の技術で資源として利用する。
そして、そもそも使うプラスチックを減らしたり、リサイクルしやすい製品をつくったりする。
プラスチックとの付き合い方は、「捨てたあと」だけではなく、「つくる・使う・回収する・再び使う」という全体へ広がっています。
そのため、これからも回収方法やリサイクル技術は変わっていくでしょう。
なぜ最近、製品プラスチックまで回収する自治体が増えているのでしょうか。
その背景には、プラスチック資源の循環を促すための制度の変化があります。

家庭でできることは「そのプラに合った道へ渡すこと」
ここまで見てきたように、プラスチックの向こう側は少し複雑です。
- 種類も違う
- 汚れ方も違う
- リサイクル方法も違う
- そして、地域によって回収方法も違います
では、家庭ではどうすればよいのでしょうか。
答えは意外とシンプルです。
今住んでいる自治体の、現在の分別ルールに合わせて出すこと。
特にプラスチックは、自治体によって回収対象が異なったり、制度の変化に合わせて分別方法が変わったりすることがあります。
- 「前に住んでいた地域ではこうだった」
- 「昔は燃えるごみだった」
ではなく、今の地域のルールを確認することが大切です。
プラスチックとして回収するものは、決められた方法で資源回収へ。
燃えるごみとして扱うものは、そのルールに従って適切な処理へ。
まだ使えるものなら、捨てる前に再使用できないか考えることもできます。
自治体によってルールが違うと、「どうして全国で統一しないの?」と思うこともあるかもしれません。
でも、その分別の向こう側には、それぞれの地域が利用している収集・選別・リサイクル・焼却の仕組みがあります。
家庭での分別は、その先にある処理へごみを渡す最初の分岐点なのです。
「分別すること」そのものの意味をもう少し広い視点から考えるなら、シリーズの入口記事へ。

まとめ|プラスチックは燃える。でも、行き先は一つではない
プラスチックは燃えます。
焼却施設で安全に処理することもできます。
だから、プラスチックを分ける理由は「燃えないから」ではありません。
その中に、まだ資源として使えるものがあるからです。
一方で、すべてのプラスチックを同じようにリサイクルできるわけでもありません。
- 素材の種類
- 汚れ
- 製品のつくり
- 地域の回収・処理の仕組み
さまざまな条件によって、その先の道は変わります。
だから、
「プラスチックだから全部資源」でも、
「燃えるから全部燃えるごみ」でもない。
そのプラスチックに合った道へ渡すことが大切です。
最近、プラスチックの分別について目にする機会が増えたのも、私たちがプラスチックとの付き合い方を少しずつ変えようとしているからです。
次にプラスチックを捨てるとき、
「なんでこんなに分けるんだろう?」
と思ったら、その先にいくつもの行き先があることを少しだけ思い出してみてください。
ほかの「素材の向こう側」ものぞいてみる
プラスチックは、種類や状態によっていくつもの行き先があります。
でも、素材が変われば、循環の仕方も変わります。
PETボトルは、どうやって再びボトルへ戻るのでしょうか。
ガラスびんは、なぜ色ごとに分ける必要があるのでしょうか。
アルミ缶やスチール缶は、どのように金属資源へ戻るのでしょうか。
金属製品は、どのように形を変えて社会へ戻っていくのでしょうか。
紙は、燃えるのになぜ資源として分けるのでしょうか。
素材ごとに、それぞれ違った「向こう側」があります。
気になる素材から、その旅をのぞいてみてください。
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