【紙ごみの向こう側】新聞・段ボール・雑誌・雑紙・紙パックの行方

紙ごみといえば、つい「燃えるゴミ」にまとめてしまいがちですが…
自治体の分別表を見ると、新聞紙、段ボール、雑誌、雑紙、紙パックと、燃やさないルートがいくつも並んでいます。
- お菓子の箱は雑紙?それとも紙マークで別の日?
- ノートやコピー用紙も資源になる?
- 段ボールはなぜ単独で回収?

見た目は同じ紙なのに、なぜこんなに区分や回収日が違うのか。
今回は、この「資源系の紙ごみ」の全体像を整理し、それぞれが燃えるゴミではなく別ルートで再生される理由をひもときます。
資源系の紙ごみの分類と特徴
まずはどんな種類があり、どこが違うのかを地図のように把握しましょう。
資源ごみの中でも「紙類」は特に種類が多く、混乱しやすい分野です。
ここで全体像を押さえておくと、以降の説明が理解しやすくなります。
区分 | 主な品目 | 特徴 |
---|---|---|
新聞紙類 | 新聞、折込チラシ | 繊維が長く再生品質が高い。需要が安定 |
段ボール | 段ボール箱 | 高強度・長繊維。主に再生段ボールの原料 |
雑誌類 | 雑誌、カタログ、本 | 混合印刷紙だが繊維は比較的長い |
雑紙(雑多な紙) | コピー用紙、封筒、包装紙、お菓子の箱、紙袋 | 繊維が短く異物混入が多い。低グレード紙向け |
紙パック | 牛乳・ジュースパック | 白色長繊維パルプで品質が高い。洗浄必須 |
「お菓子の箱」は雑紙に含まれることが多いですが、自治体によっては紙マーク付き容器包装として別回収になることもあります。


新聞紙類
新聞紙は“高品質の古紙”の代表格。
出し方を整えるだけで再生効率が大きく変わります。
日常的に目にする新聞紙やチラシも、実は古紙リサイクルの主役です。
- 何が含まれる?
- 新聞本紙、折込チラシなど、新聞販売店から届く印刷物。
- なぜ資源になる?
- 新聞紙は繊維が長く品質が均一。
- 再生後の強度が高いため、古紙業界でも安定した需要があります。
- 主に新聞紙や段ボール原紙の原料になります。
- 何になる?
- 古紙業者で選別・異物除去後、製紙工場でパルプ化。
- 高品質な新聞紙や段ボール原紙に再生されます。
段ボール
通販の普及で家庭から大量に出る段ボールは、家庭で最も出やすい“資源価値の高い紙”です。
専用ルートがあるのは理由があり、扱い方の差がそのまま品質に響きます。
- 何が含まれる?
- 通販や引っ越し、家電製品の外箱など、厚手の波状構造を持つ箱類。
- なぜ資源になる?
- 段ボールは長繊維で強度が高くリサイクルしても品質が保ちやすい。
- ほぼ100%が再生紙で作られており、回収→再利用のサイクルが確立
- 何になる?
- 古紙業者でラベルやテープを除去後、製紙工場でパルプ化。
- 新しい段ボール原紙や紙芯に再生されます。
雑誌類
光沢紙でもポイントを押さえれば、しっかり資源になります。
厚みのある冊子やカタログも重要な資源。光沢紙でも再利用可能です。
- 何が含まれる?
- 雑誌、カタログ、パンフレット、本など。
- 光沢紙や厚紙が多いのが特徴。
- なぜ資源になる?
- 混合印刷紙ながらも繊維は比較的長く、板紙や段ボールの中芯などに利用可能。
- 何になる?
- インクやコーティングを除去しつつパルプ化
- 板紙や再生紙の原料になります。
雑紙(雑多な紙)
最も混乱しやすいカテゴリなので線引きを明確にして迷わないようにしましょう。
「これって資源?」と迷う多種多様な紙は雑紙としてまとめられます。
- 何が含まれる?
- コピー用紙、封筒(窓付きはフィルムを外す)、包装紙、お菓子の箱、紙袋、はがきなど。
- なぜ資源になる?
- 繊維は短めで品質は低いものの、芯紙や灰色板紙など低グレード製品の原料になる。
- 家庭内から多く出るため、回収量を増やすことで資源量が大きく伸びる。
- 何になる?
- 古紙業者で異物や不可紙を除去後、低グレード紙の原料に。
紙パック
ひと手間が品質を左右する“白い資源”。
牛乳パックをはじめとする飲料容器は、白くて高品質な紙として別枠で扱われます。
- 何が含まれる?
- 牛乳・ジュース・酒類などの飲料用紙パック。
- 内側にポリエチレンコーティングあり。
- なぜ資源になる?
- 白色長繊維パルプを使用しており、高品質の再生紙(ティッシュ、トイレットペーパー、白板紙)の原料に
- 何になる?
- 紙パック専用の回収ルートに集められ、製紙工場でコーティングを剥離・パルプ化。
- 白色再生紙として利用されます。
最近増えている「紙化」の流れ
近年、プラスチック削減やリサイクル促進のため、これまでプラ製だった包装材や緩衝材が紙製に置き換わる動きが加速しています。
- 通販の梱包材
- Amazonなど大手ECでは、プチプチやビニール袋から、クラフト紙や紙製クッション材に切り替えるケースが増加。
- 食品・菓子パッケージ
- チョコレートやスナック菓子の外袋が紙製になり、「紙マーク」が付く商品が拡大。
- ドリンクカップ・ストロー
- テイクアウト容器やストローでも紙化が進行。
紙化はプラごみ削減には有効ですが、汚れや複合素材によって資源にならない紙が増えるリスクもあります。
きれいな状態で資源ルートに回すことが大切です。


回収ルートはどう違うの?
同じ紙でも“誰が回収してどこへ行くか”で流れが変わります。
仕組みを知ると迷いが減ります。
- 自治体資源回収
- 自治体委託が収集。紙製容器包装・雑紙・新聞/雑誌/段ボールなどを分別日に。
- 選別施設 → 古紙業者/容リ協会 → 製紙工場
- 集団回収(町内会・PTA)
- 地域団体が古紙業者へ直接引き渡し。(月1など)
- 古紙ヤード → 製紙工場
- 事業系回収
- 店舗・事務所が業者と契約。量・品質で条件が変わる。
- 古紙ヤード → 製紙工場

ゴミ箱の向こう側(全体フロー)
家庭での分別が、再生までの各工程にどう響くかを俯瞰します。
家庭で分別された紙ごみは、その後どんな工程を経て資源に戻っていくのでしょうか
大まかな流れを見てみます。
きれい・乾いた状態で、紙種ごとにまとめる。
指定日に出し、濡れを避けて回収車で搬送。
紙種を仕分け直し、テープやフィルム等を外す。
水と工程薬品で繊維をほぐし、異物を除去。
新聞紙・段ボール・板紙・トイレットペーパーなどに再生。
雑紙は段ボールや新聞紙より品質は劣りますが、きれいに分ければ再利用は可能。
まとめて燃えるゴミではなく家庭での仕分けが再生量を大きく左右します。


まとめ
資源系の紙ごみは、品質・制度・効率の観点で分けるからこそ再生が成り立ちます。
家庭では“きれい・乾いた・紙種ごと”を守るだけで、向こう側の工程が安定します。
迷ったら自治体の分別表で「雑紙」「紙製容器包装」「紙パック」の扱いを確認しましょう。
sutekatainfo.comでは、家庭で迷いがちな“捨てかた”を入口に、ルールや背景・意味を紐解き、納得感を持って行動できる情報をお届けしていきます。
関連記事





