【アルミ箔の捨てかた】燃えるゴミ?自治体で違う分別の理由とリサイクルの課題

アルミ箔は料理や食品の保存に便利ですが、意外と捨て方に迷う人が多いアイテムです。
「アルミだから金属ゴミ?」「燃えるゴミに入れても燃えないの?」などの疑問に対し、正しい捨て方やリサイクルに関する情報をご紹介します。


アルミ箔の基本情報

アルミ箔はアルミニウムという金属を薄く延ばして作られたもので、酸素や光を遮断する特性から食品の保存や調理に広く利用されています。
厚さは通常0.02mm前後で、家庭用のほか業務用としても幅広く利用されています。
厚生労働省の調査によると、日本人1人当たり0.6kgのアルミ箔(食料品や日用品の包装など含む)を家庭ゴミとして排出しているそうです。(出典:一般財団法人 日本アルミニウム協会 https://www.aluminum.or.jp)
1億2千万人で計算するとざっと7万2000トンです。
これらが適切にリサイクルされずに一般ゴミに混ざってしまうと、自治体の処理負担が増え、環境にも大きな負荷をかけることになります。
アルミ箔の分別方法
自治体ごとの分別区分

アルミホイルの分別方法は自治体ごとに異なります。
主要な自治体の例を調べてみました。
自治体名 | 分別区分 |
---|---|
東京都葛飾区、江戸川区、港区、世田谷区 | 燃やさないごみ(不燃ごみ) |
大阪市 | 資源ごみ |
横浜市、京都市、福岡市、神戸市、広島市、仙台市 | 燃やすごみ |
横須賀市 | 燃えるごみ |
札幌市 | 資源ごみ(金属類) |
このように、燃えるゴミから燃えないごみから、各自治体によってルールが異なります。
いちどお住まいの地域のウェブサイトやゴミ分別アプリなどで確認してみてください。
なぜ分別区分が異なるのか?
アルミ箔の分別方法が自治体によって異なるのは、各市町村の処理施設や設備の違い及び資源循環に対する考え方の違いによるものです。
アルミ箔は厚みが薄く高温で燃やすとほとんどが灰になるため、一部の自治体では「燃えるごみ」として扱われています。
一方で、資源回収設備が整っている自治体では、「資源ごみ」または「不燃ごみ」として資源回収やリサイクルに回されている場合もあります。
ただ、アルミ箔を資源ごみとして扱っている自治体でも、食品が付着している場合や汚れているものは「可燃ごみ」として区分されることが多いです。
容器包装リサイクル法における分類

食品の保存や包装用途で用いられるアルミ箔の分別に関しては、「容器包装リサイクル法(以下、容リ法)」というのも絡んできます。
スナック菓子の袋など、内側にアルミが蒸着されたプラスチックとの複合材料の分別をどう考えるのか?
これについても一般財団法人 日本アルミニウム協会HPにあるまとめ表がわかりやすかったので紹介します。

プラマークや紙マークがついているものは「容リ法」の対象で、アルミ蒸着のお菓子袋もそれに当たります。
一方で、それ以外のアルミホイルやチーズの包装などは「アルミ主体」ということで「容リ法」の対象にはならず、「燃えるゴミ」や「資源ごみ」など指定の分別区分で捨てる必要があります。
捨て方による影響
燃えるゴミでいいの?

アルミ箔は厚みが薄く高温で燃やすとほとんどが灰になるため、一部の自治体では「燃えるごみ」として扱われています。
しかし一方で、金属であるアルミが完全燃焼することは難しく、燃えるゴミとして処理しても一部は焼却炉内で燃え残ってしまいます。
アルミが原因の施設トラブルも発生しており、設備のメンテナンス費用や安定的なゴミ処理を妨げる原因にもなり得るので注意が必要です。
設備内でアルミが固まる
アルミは融点が低いため焼却炉の中で溶け出して設備内で固まることで安定稼働を妨げることがあります。
定期的に設備内で固まったアルミニウムを取り除く作業が必要になります。
水素発生
焼却灰の中に含まれたアルミニウムのせいで、焼却灰の処理中に水素が発生することがあります。
設備内に水素が溜まってしまい爆発事故につながるといった事故事例もありました。
自治体の施設性能によって焼却能力も変わるので、決められたルールにしたがて捨てることが需要なのです。
不燃ゴミに捨てるとどうなる?

アルミ箔を不燃ゴミとして捨てた場合、多くの自治体では最終処分場で埋立処分されることになります。
アルミという貴重な資源が再利用されずに廃棄されることで、埋立地の圧迫や資源枯渇が進む恐れがあります。
ただ、アルミニウムは土から生まれ土に戻ると言われていて、アルミ箔のような薄いものであれば土壌中でも数年で侵食さレ、ほとんど土に還るという考え方もあるようです。(https://www.aluminum.or.jp/haku/environment/environment01.html)
「アルミが土に還る」という考え方は初耳でした。
埋め立てると土壌汚染がーー、という議論に行きがちですが、アルミ箔の場合はどちらかというと「埋め立てると資源のムダ」という方向での議論が良さそうです。

アルミ箔のリサイクル
アルミはリサイクルしやすい素材
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まず前提としてアルミは金属でありリサイクル可能な資源です。
資源ごみとして適切に回収すれば、新しいアルミ製品に再生することができます。
アルミニウムは一度リサイクルされると、何度でも品質を落とさず再利用可能な素材です。
アルミ缶リサイクル協会によると、リサイクルされたアルミは約60日間で新たな製品として生まれ変わります。
アルミのリサイクルは超エコ
アルミのリサイクルは、新たにアルミを精製して製造する時より約97%もエネルギー消費を削減でき、地球温暖化防止にも大きく貢献します。
(出典:アルミ缶リサイクル協会https://www.alumi-can.or.jp/pages/24)。
なぜアルミ箔のリサイクルは難しい?

しかし、アルミ箔のリサイクルとなると少し話が変わります。
アルミ箔は非常に薄く、また食品や油が付着しやすいため、純粋なアルミ資源として回収・リサイクルすることが難しいのです。
また、紙やプラスチックフィルムと複合素材になっていることも多く、分離が難しいこともリサイクルの難易度を上げています。
リサイクル時の注意点
汚れは取り除く
食品や汚れが付着したものは軽く水洗いして落としましょう。
特に油やタンパク質などが沢山付いていると、リサイクルを妨げるだけでなく衛生的観点からも好ましくありません。
そういった場合は素直に燃えるゴミや不燃ゴミまたは自治体の指定方法で処分してください。
まとめて捨てる
細かいアルミ箔は軽くて飛んでいってしまったり隙間に落ちやすくなったりと取り扱いが難しいくなります。
小さく丸めたり束ねたりしてから捨てると、回収作業やリサイクル処理がスムーズになります。
また、小さなアルミホイル片もまとめて出すことで、リサイクル率が向上します。
まとめ
アルミホイルの適切な捨て方とリサイクルは環境保護に直結しています。
自治体のルールに従った分別を意識しリサイクルを積極的に活用しましょう。
さらに再利用可能な製品を選ぶことで、ごみ削減と資源循環を促進できます。
一人ひとりの心がけが地球の未来を守る大きな力になります。