【ビン回収の向こう側】色分けがカギ?ガラス製品とは別ルートで生まれ変わる

家庭から出る「ビンごみ」。
ペットボトルや缶と同じ日に資源ごみとして出すことが多いため、なんとなく一括りにしてしまいがちですが、実は処理の流れも、再資源化の仕組みもまったく異なります。
この記事では、「ゴミ箱の向こう側」として、ビンごみの処理フローと再資源化の構造を紐解きます。
見た目は似ていても、“ビン”と“その他のガラス製品”は別モノ。
その違いに目を向けると、あなたの“分け方”にも納得の理由が見えてくるはずです。
ビンごみの分別ルールとその意味
家庭から出るビンごみの多くは、飲料用や食品用のガラスびんです。
多くの自治体では「資源ごみ」に分類され、以下のような分別ルールが設けられています。
- 中身を空にして軽く洗う(ラベルはそのままでOKなことが多い)
- フタは金属ごみやプラごみに分けて出す
- 透明・茶色・その他の色で分別(色別回収)されている地域も
色分けされている理由は「透明びんに色付きガラスが混ざると再生時に支障をきたす」からです。
透明びんを“透明のまま”再生するには、かなり厳密な選別が必要なのです。


処理フロー:資源として再びガラスびんへ
ここからは、家庭から出したビンがどのように資源に生まれ変わっていくのかを、流れに沿って見ていきましょう。
最初は単なる空き容器ですが、工程を経ることで「新しいびんの原料」へと姿を変えていきます。
- 自治体や委託業者が回収し、中間処理施設に運ばれます。
- 多くの場合、缶・ペットボトルとは異なる専用ルートで処理されます。
- 人力や機械によって色ごとに選別され、混入物(プラキャップ・金属など)を取り除きます。
- この段階で「割れたコップや陶器」が混ざっていると処理に支障が出るため、かなり慎重な工程になります。
- 選別されたビンは砕かれ、「カレット」と呼ばれる再生ガラス原料になります。
- 透明・茶・緑など、色ごとに分かれた状態でストックされます。
- カレットは主にガラスびん製造工場に運ばれ、再びびんとして生まれ変わります。
- また一部は建材や路盤材(道路の下地)に利用されることもあります。
「ビン」と「ガラス製品」はまったくの別ルート
“見た目がガラスだから”といって一緒に出してはいけない理由があります。
分類 | 例 | 処理ルート |
---|---|---|
ビン(飲料・調味料用) | 酒びん、ジャムびん、調味料びんなど | 資源ごみとして回収 → カレット化 → 再資源化 |
その他のガラス製品 | ガラスコップ、耐熱皿、鏡、陶器類 | 多くの自治体で「不燃ごみ」または「埋立」扱い |
コップや耐熱皿は成分が違い、製瓶に混ぜると溶け残って不良品の原因に。
混ぜると全部がダメになるおそれがあります。



現場の困りごと:ビンごみに混ざる異物たち
異物の混入は、安全・品質・コストに直結します。
現場で特に問題になる代表例だけを、要点で押さえます。
- キャップ・ラベル・中栓(プラ/金属)
- 手選別の負担増。
- 破砕後の微小片が残りカレット品位低下。
- 耐熱ガラス・食器
- 融点差で溶け残り(ストーン)が発生し製瓶不良の原因。
- 透明カレットの格下げ要因。
- 陶磁器・土石・鏡・板ガラス
- 異材・コーティングが残留し、機器摩耗やライン停止のリスク。
- 中身残り(油分・調味料)
- 悪臭・虫害と洗浄負荷増で歩留まり低下。
- 空:中身を空に(固形も除去)。
- 外す:キャップ・中栓・金属リングを外し別区分へ。
- すすぐ:軽くすすいで水切り。
「後で選別できる」はNG。
出す側のひと手間が、ラインの安全と資源の質を守ります。

暮らしの中でできること
“出し方の工夫”はほんのわずかでも、処理現場にとって大きな助けになります。
ここでは、家庭でできるシンプルな工夫を整理します。
出すときの基本マナー
まずは最低限の3ステップを意識するだけで十分です。
- 外す:フタ・中栓・金属リングを外して別区分へ。
- 空にする:中身を使い切り、固形物も除去。
- 軽くすすぐ→水切り:におい・虫害と品位低下を防止。
買うときの工夫
実は“買う段階”からびんの行方は変えられます。
- リターナブルびん
- 対応商品があれば優先。
- 再使用で資源・エネルギー負担を圧縮できます。
- 詰め替え製品
- びんそのものの発生を抑えることも有効です。
なぜここまで分けるのか?制度の裏にある事情
ここまで手間をかけて分けるのは、単なるルールではなく“制度的な背景”があるからです。
- 確立したルート
- 国内にはカレット→製瓶への確立ルートがあり、国産カレットの需要は安定。
- 品質要件が厳格
- 透明カレットは少量の混入でもダウングレード。
- だから家庭段階からの選別が効く。
- 容器トレンドの変化
- ワンウェイ容器が増え、リターナブルは減少傾向。
- 再使用と高品質リサイクルの両輪が必要。
- 行き先の“後退”
- 異物混入や汚れで規格を満たせないカレットは、びん用途から土木材(路盤材等)へ用途が下がる
- 地域事情や品質次第では埋立に回ることもあります。

まとめ:ビンは、きちんと分ければ何度でも生き返る
ビンは素材として非常にリサイクル性が高く、再びガラスびんとして生まれ変わることができます。
ただし、きれいに洗って、適切に分けて出すことが前提。
ガラス製品との違いを理解し、見た目ではなく“処理ルート”を意識した分別が大切です。
sutekatainfo.comでは、家庭で迷いがちな“捨てかた”を入口に、ルールや背景・意味を紐解き、納得感を持って行動できる情報をお届けしていきます。
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